プロダクションノート

久石 譲と二階堂和美

 音楽を担当したのはスタジオジブリの宮崎駿監督作品では常連の久石譲。今や世界的にも有名な、日本の映画音楽の第一人者だが、彼が一躍脚光を浴びるきっかけとなったのは、高畑勲がプロデューサーとして参加した「風の谷のナウシカ」だった。実は以前から久石は、高畑作品への参加を熱望していた。
 今年夏公開の「風立ちぬ」の音楽も担当していた久石だったが、「かぐや姫の物語」の制作の遅れで「風立ちぬ」との同日公開が実現できなかったことにより、「かぐや姫の物語」への参加が実現。高畑監督の強い希望により、30年の時を経て、自らの才能を見出してくれたともいえる高畑監督とついに“相思相愛”の初タッグを組むこととなったのだ。
ちなみに劇中歌「わらべ唄」「天女の歌」は、高畑監督と脚本家の坂口理子が作詞し、高畑監督自らが作曲した。歌曲の説明のため、「初音ミク」でデモを作り、久石に聴かせていたそうだ。
 主題歌を担当したのは、現役僧侶という異色の肩書を持つ広島在住のアーティスト・二階堂和美。アルバム「にじみ」を聴き、二階堂の全てのCDを購入してしまうほど強く惹かれた高畑監督が主題歌制作を依頼し、作詞・作曲・唄を担当することとなった。二階堂は2度ほどの打ち合わせで高畑監督の求める曲を作りあげ、今年の3月、新しい生命をお腹に宿した状態で「いのちの記憶」のレコーディングに臨んだ。
 なお、本作を制作中、あの東日本大震災が起きた。映画の制作は続行されたが、実は、高畑監督は3.11以降における作品制作で、自分は演出家として責任を果たすことが出来るのかという疑問を感じていた。しかし録音された「いのちの記憶」を聴き、その疑問は消えた。高畑監督は、この曲のおかげで「かぐや姫の物語」が、3.11以降に相応しい、人間と地球の連帯を表す映画になると確信したという。

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