■プロダクションノーツ
4:参考にしたのは日活の青春映画
1963年は宮崎吾朗監督が生まれる前の時代。ということで吾朗監督は、その時代に制作された日活の青春映画を参考にしたという。その中でも特に参考にしたのが、吉永小百合主演で世に送り出された「赤い蕾と白い花」(1962)、「青い山脈」(1963)、「雨の中に消えて」(1963)、「美しい暦」(1963)。主人公たちの言葉には裏がない。そして話すテンポが速い。自分の思いを躊躇なく伝える。そういった当時の日本人の話し方、コミュニケーションの仕方が「コクリコ坂から」に反映された。海や俊、そして他の登場人物たちもみんな、自分の気持ちをストレートに伝え、ストレートに相手の言葉を解釈する。自分の気持ちからも、相手の辛い言葉からも決して逃げない。自分の本当の気持ちをごまかさず伝える力、相手の気持ちをそのまま受け止める強さ、これは本来日本人が持っていたものなのではないだろうか。「コクリコ坂から」の登場人物たちは、そんな正直なコミュニケーション方法を忘れてしまおうとしている私たちに勇気を与え、人と人がつながることの素晴らしさを再認識させてくれるはずだ。
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