「コクリコ坂から」
6.20 DVD & Blu-ray 発売決定!

プロダクションノーツ

3:設定は"海の見える坂道"と"歴史ある古い建物"

主人公の海が暮らす家、そして海と俊が通う高校、ともに海の見える坂の上に建つ。坂を上る時、その目の前には青い空が、振り返れば海が見える。坂の向こう、そして広がる海の向こうに「希望」や「未来」を感じることができ、想像するだけで心が沸き立つ設定である。
そして物語の重要な舞台となる古いけれど思い出のつまった歴史ある2つ建物の設定は宮崎駿が作り上げた。1つは、海の自宅である「コクリコ荘」。もともとは病院だったところを自宅兼下宿屋として、海が切り盛りしている。1階には食堂があり、そこで海の家族と下宿人たちで食卓を囲む。離れがあり、そこに海の祖母が暮らしている。古いけれど、手入れが行き届いている。そして庭にはたくさんのコクリコ(ひなげし)の花が咲いている。海が祈りを込めて揚げる信号旗のための旗竿もある。もう1つは、高校にある壊すか保存するかの議論の対象となる文化部部室が集まる擬洋風の建物、通称「カルチェラタン」。埃まみれだけれど、使っている男子学生たちの愛情が詰まった、素敵な魔窟。海と妹の空が初めてカルチェラタンに足を踏み入れるシーンは、まるで不思議の国に迷い込んだアリスのように見える。
そして面白いのが、「コクリコ荘」は女性の巣で、「カルチェラタン」は男の巣として描かれている点である。「コクリコ荘」は海の弟・陸を除いて全員が女性。女性の下宿人たちは、研修医に画家の卵、ビジネスガール(当時のOL)。きちんと家事をこなす海も含め、自立する女性たちが生き生きと描かれる。対して「カルチェラタン」に登場するのは、考古学研究会、天文部、哲学研究会、化学研究会、無線部、現代詩研究会、弁論部、新聞部、数学部の男子学生たち。好きなことに熱中する愛すべき変人たち。「コクリコ荘」「カルチェラタン」どちらも、魅力的な住人で溢れている。
ちなみに舞台となる港が見える町とは、横浜。コクリコ荘があるのは、神奈川近代文学館のあたりのイメージ。さらに山下公園、ホテルニューグランド、マリンタワー、氷川丸、桜木町駅などが出てくるのも、見どころである。

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