1967年に出版された「思い出のマーニー」は、イギリス児童文学の最高傑作の呼び声高く、宮崎駿監督も大好きな一冊です。その映画化に際して、米林監督が拘ったのは、杏奈とマーニーが出会う湿地の風景でした。舞台をイギリスから日本の北海道に置き換え、描くべき湿地の風景を求めて釧路、根室、厚岸などへロケハンを敢行。そのイメージをもとに、現実と幻想が入り混じる架空の海辺の村を作り上げました。澄み渡るような美しい湿地、その潮の満ち引きや変化する入江の風景は、微妙に変化し続ける少女たちの心を映します。本作がスタジオジブリならではの幻想的なファンタジー作品となったのには、北海道の湿地が一役買っているのです。