スタジオジブリ最新作 『思い出のマーニー』は、都会で暮らす12歳の少女・杏奈が主人公です。「この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、私は外側の人間。でもそんなのはどうでもいいの。私は、私が嫌い。」杏奈は幼い頃に両親を亡くし、養父母とともに暮らしています。あることがきっかけで周りに心を閉ざしてしまった杏奈は、悪化する喘息の療養のため、養母・頼子の親戚・大岩夫妻が暮らす海辺の村へ旅立つことになりました。それが、杏奈が経験したひと夏の不思議な出会いの始まりでした。
療養先の海辺の村で、杏奈は入江に面して建つ古い屋敷を目にします。「何だろう、あのお屋敷……知ってる気がする」村の人たちが湿(しめ)っ地(ち)屋敷と呼ぶその屋敷には、長い間、人が住んでいません。初めて見るはずの湿っ地屋敷に、杏奈はなぜか心惹かれます。屋敷は夢の中にまで出てくるようになりました。奇妙なことに、その夢には決まって青い窓に閉じ込められた謎の金髪の少女の姿があったのです。
ある晩のこと、村のお祭りで地元の中学生と揉めごとを起こした杏奈は、その場から逃げるように立ち去り、気が付くと湿っ地屋敷の見える海辺に立っていました。「私は私のとおり。 不機嫌で、不愉快で。 私は、私が嫌い……」苦しみと悲しみのあまり、その場に泣き崩れる杏奈。 そのとき、杏奈の前に現れたのは、夢の中に出てきた謎の金髪の少女でした。
「あたしたちのことは秘密よ、永久に。」 少女の名はマーニー。 美しく華やかなマーニーに杏奈は憧れ、マーニーとの日々を過ごすようになります。杏奈にとってマーニーは心を打ち明けられる唯一の存在となっていき、同時に杏奈はマーニーの中にある深い悲しみを知ります。「私、マーニーを助けたい!」 大雨が降り、雷鳴が轟くなか、ふたりはマーニーの怖れを克服すべく、崖の上のサイロへと向かいました。しかしそのとき、マーニーが忽然と姿を消してしまったのです――。
マーニーとはいったい誰なのか。湿っ地屋敷に隠されたもうひとつの物語とは。そして、杏奈がたどりついた感動の真実とは、いったい何だったのか。自分を見失い、心を閉ざしてしまった一人の少女・杏奈。杏奈の魂を癒したのは北海道の自然と、マーニーの愛でした。ふたりの少女のひと夏の思い出が結ばれるとき、杏奈は思いがけない“まるごとの愛”に包まれていく。2014年夏のスタジオジブリは、さびしさのさきにある、かけがえのない宝物をみつけた少女たちの物語を日本中に届けます。あなたのことが大すき。