竹の中から生まれ、すぐに成長して美しい娘に育ち、求婚者たちを次々と振ったあげく、満月の夜、迎えに来た使者とともに月へと去ってしまう――。 これが日本人の誰もが知る「竹取物語」の筋書きだ。 しかし、かぐや姫がどうしてこの地に心を残し、月へ帰ることをあれほど嘆き悲しむのか、その理由を私たちは知らない。 かぐや姫はいったい何のために地球にやって来て、なぜ月へ帰ることになったのか。この地で何を思い生きていたのか。 かぐや姫の罪とは、その罰とはいったい何だったのか。 高畑勲の待望の最新作「かぐや姫の物語」は、誰もが知る“かぐや姫”の筋書きはそのままに、誰も知ることのなかったその「心」を描くことで、 日本最古の物語に隠された人間・かぐや姫の真実を描き出す。
「アルプスの少女ハイジ」「赤毛のアン」「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」…… 日本のアニメーションの礎を築いた伝説のアニメーション映画監督・高畑 勲。その14年ぶりの最新作「かぐや姫の物語」が遂に完成した。 高畑自身、「今日のひとつの到達点」と語る本作は、予告編が「風立ちぬ」公開と同時に劇場上映されるや、その画期的な映像表現に話題騒然。 日本トップクラスのスタッフが集結し、新たなスタジオを開設してまで作られるなど、 アニメーションの「破壊と創造」を繰り返してきた78歳の巨匠・高畑 勲の半世紀越しの夢がいま実現する。 日本のアニメーションにまた新たな潮流が生まれる。ここに、ジブリ史上、最大の野心作が誕生した。
主人公・かぐや姫役には、数百人のオーディションから選ばれた朝倉あき。日本人の誰もが知る“絶世の美女”の喜びと悲しみを見事に演じきった。 幼馴染である捨丸役に実力派若手俳優の高良健吾。かぐや姫を育てる翁役を、本作が遺作映画となった故・地井武男が熱演。 また、NHK「あまちゃん」が記憶に新しい宮本信子が、育ての母である媼を優しく演じた。 さらに高畑淳子、田畑智子、立川志の輔、上川隆也 伊集院光、宇崎竜童、中村七之助、橋爪 功 朝丘雪路、仲代達矢ら、かつてない豪華キャストが脇を固める。
音楽を担当したのは久石 譲。「風の谷のナウシカ」(1984年 宮崎 駿監督)でプロデューサーであった高畑 勲に才能を見出された久石が、高畑監督の強い希望により、今回初めて高畑監督作品に参加することとなった。 また、主題歌には広島在住の現役僧侶でもある二階堂和美が抜擢された。“いのちの歌声“を持つ二階堂和美の主題歌で、映画は圧倒的な包容力とともに幕を閉じる。
それはとりもなおさず、 地球に生を受けたにもかかわらず、 その生を輝かすことができないでいる 私たち自身の物語でもありうるのではないか。 地球を体験した月の人であるかぐや姫が、 命あふれる地球の豊かさや、わたしたち人間の愛憎、善良さと愚かさを 照らし出してくれないはずはない。 ―高畑 勲「かぐや姫の物語」企画書より―
かぐや姫が生きたその一瞬一瞬を通して、みずからの“生”を力一杯生きることの意味を問う、 スタジオジブリ最新作「かぐや姫の物語」にぜひご期待ください。