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というわけで2回目となりますが、VHS&DVDの『人間は何を食べてきたか』の現状報告です。前回はちょっと硬めだったので今回はちょっとフランクな調子でいきます。 まず最近の最大のトピックは、全8巻それぞれに収録される特典映像の収録が無事に終了したことです。企画立ち上げ当初、「昨今のDVD市場を見るにつけ、単にソフト化するだけでは、訴求力が弱い」「ジブリがソフト化する意味を前面に出すことが必要なのではないか」などといろいろ考えた末にひねり出したのが、高畑勲監督・宮崎駿監督に参加してもらってスタッフとの座談会を行うというアイデア。これがOKとなったはいいけれど、実行する段階になったらいつの間にか8人のディレクターと8回の座談会をセッティングするという、想像するだにブッキングのハードルが高い企画となっていたわけです。 そのあとはひたすらスケジュール調整。都合が合う日なんて本当にあるのか、あるんじゃないかな、いやきっとあるに違いないと自己暗示をかけつつ作業を進め、NHKソフトウェアさんのご協力もあって、なんとか8回の収録の日程を決めることができました。(とはいっても結局、収録時期は9月下旬から11月上旬まで、足掛け3カ月もの幅が生まれてしまいましたが……) しかし収録と編集が終わった現在、結論を言うなら「特典映像をつけることにしてよかった」ということに尽きます。 なにしろまずディレクター諸氏の話が面白い。やはり取材現場には画面に映らないさまざまなエピソードがあるわけで、そうしたエピソードを聞くと、本編の映像が一層おもしろくなります。 たとえば第6巻収録の『サバンナの移動漁民〜アフリカ・ニジェール川〜』に登場するセクさんというボゾ族の男性。ボゾ族は一夫多妻制だそうで、本編ではカットされてしまいましたが、彼は「裕福になったら妻をもう一人もらいたい」というのが願いだったそうです。画面では一家を守る腕のいい漁師という側面ばかりが見えるので、このセクさんの本音のエピソードは、なんとも人間臭くて印象に残りました。おまけにディレクター氏が「俺も妻は一人だ」と話したら、セクさんは「お前も貧しいんだな」って同情してくれたそうです(笑)。 そして各ディレクターのこうしたエピソードを聞く高畑・宮崎両監督の視点やリアクションもおもしろい。 注目点はカラハリ砂漠の部族の発音方法だったり、雨季と乾季の湖の大きさの変化の仕方だったりと、番組のテーマだけに留まらず多種多様。両監督の好奇心の強さと、知識の豊富さを実感しました。第3巻収録の『太古からのメッセージ タロイモ・ヤムイモ』を題材にした時は、実際に出演者全員に奄美大島のタロイモを食べていただいたのですが、この時も両監督は興味津々。机の上にイモがのった瞬間から、とても丁寧にイモを観察していました。 と収録そのものはおもしろく話を聞いているうちにあっという間に終了。VHS&DVDにはこの座談会を各15分〜20分程度に編集したものが収録されますが、“おいしい”ところは全部入っていますので、とても濃厚な特典映像に仕上がっています。 というわけで2月21日に発売になるビデオグラム『人間は何を食べてきたか』を是非お楽しみに。(禰) | |
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現在、スタジオジブリ出版部では、NHK制作のドキュメンタリー『人間は何を食べてきたか』のソフト化の作業を進めています。このドキュメンタリーは、肉、米、魚といった人間の根源を支えている食べ物を取り上げ、「食べること」の意味を正面から考える内容です。'85年から'94年にかけて、全4シリーズが放送されました。今回はその番組全てをビデオ・DVD全8巻に収録してリリースします。 どうしてNHKドキュメンタリーをスタジオジブリがソフト化するのか? と疑問を持たれる方がいるかもしれません。その一番のきっかけは高畑勲監督、宮崎駿監督がこの番組に強く共感していたことです。過去には、スタジオ内でこの番組の上映会を開いたこともありました。一方、さまざまなNHKドキュメンタリーがソフト化されている現状の中で、『人間は何を食べてきたか』シリーズはなかなかソフト化されていませんでした。そこで「ならばジブリの手でソフト化してしまおう」と企画がスタート、NHKソフトウェアの協力も得られ、今回ソフト化にこぎつけたものです。 こうして説明すると、硬くてとっつきにくい内容の番組に思われるかもしれませんが、それは違います。『人間は何を食べてきたか』はむしろ、新鮮でダイナミックで、好奇心を刺激するような内容ばかりです。たとえば'85年の第1シリーズ第1集では、肉を取り上げています。そこでは農家の庭先でドイツ人の職人が豚を解体するシーンが登場します。その様子は残酷というよりも、手際よく鮮やかな刃物の扱い方が印象に残ります。また、第3シリーズ第1集では、インドネシアのクジラ漁を取り上げ、銛とともにダイナミックに海に飛び込む猟師の姿を追っています。 いずれの番組も取材スタッフが現地の人びとと一緒に生活をし、だからこそ撮影が可能になった、人間の姿が記録されています。さまざまな国のさまざまな人びとの生活を追ったドキュメント・バラエティ「世界ウルルン滞在記」(TBS系)を好きな人ならば必ず楽しめる内容ばかりです。 このように魅力的な番組ですが、ジブリがソフト化する以上、ジブリらしいカラーをさらに付け加えたいとも考えました。そこで各巻に15〜20分程度の特典映像を付けることにしました。内容は、当時のスタッフと高畑・宮崎両監督の座談会です。司会をNHKの桜井洋子アナウンサーにお願いしました。9月20日には、その第1回の収録が行われましたが、これもまた本編に負けず濃い内容に仕上がりそうです。番組を見終わった後に、この特典映像を見れば、より本編を楽しめるようになるのは確実でしょう。 現在、2003年1月末の発売を目指して制作が進んでいます。値段もジブリ作品並にお求め安い価格になる予定です。『天空の城ラピュタ』のDVDには、予告編も入っています。発売を是非お楽しみに。(禰) | |
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ジブリ常設店、つまりジブリ関連書を全部、常時揃えておいてくれている書店の担当者の方々と9日の午後、お会いした。今年の1月頃から展開してくれている店など、5書店5人の担当者がジブリまで足をはこんでくれた。 「宣伝のチラシは、置き場所にこまるし、あまり効果がないです。それより、本をいれる袋のほうが評判いいですよ」「ジブリは、子どもに与えて安心と親御さんたちが思っているブランドです。本を一ケ所に集めたことで、こんな本もあったのねとお母さんが子どもに買い与えるケースも見かけます」「『猫の恩返し』の原作コミックスは、よく売れています。でも高額の本は、勢いがいまいちかな」などなど、現場ならではのレポートをたくさん聞くことができた。 なかでも、耳に残った事は「虫眼とアニ眼」の装幀について。「これは、徳間書店の本という感じで、宮崎さんの本という感じがしません」「徳間書店の本って、どういう意味でしょう?」「白地に帯が黄色、著者名の下に敷いてあるグリーンも、徳間書店の本によく使われる色ですよね」「ウーン」。 徳間書店というイメージにこの本がなっているかどうかは別にして、宮崎さんの本らしくないという指摘は今後の本作りの参考になると思った。「虫眼とアニ眼」は養老孟司さんとの対談本。対談というイメージで考えた装幀で、出版部では、好評。だが、いまは「あっ、ジブリ。あっ、宮崎監督の本」という感じの本が、最も望まれているということなのだろう。 まるごと1冊、宮崎ワールドの本、できるかなあ? 大きな宿題です。(ゆ) | |
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「THE ART OF 猫の恩返し」は、『猫の恩返し』の世界を作った背景、美術ボード、キャラクター設定、キャラクターボード、場面スチールなどをたっぷりと収録したA4サイズ、カラー176頁、モノクロ32頁の本です。 本編はデジタル作品なので、背景も場面スチールも素材はデジタルデータです。映像用のデータを印刷したときに、なかなか映画そのものの色がでないというようなこともありました。この作品の持ち味であるさわやかで健やかな色合いを再現できるように何度もテストを重ねたり、印刷工場まで行って実際の印刷に立ち合ったりしました。 映画はスピーディーな展開で、17才の女子高生ハルが猫たちのまとはずれな恩返しに翻弄されながら、さまざまな場所を駆け抜けていきますが、ハルの家や学校、十字街などの現実の世界、バロンのいる猫の事務所のある不思議な空間、そして七色の光が降り注ぐ夢のような猫の国、それぞれ違った雰囲気の舞台の美術を、じっくり味わってもらえればと思います。(R) | |
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新聞広告を、じっくり眺めたことがなかった。今回、約500本のジブリ作品の広告を見た。18年前の「ナウシカ」のころと2001年の「千と千尋」のころでは、そのデザイン的魅力は、倍増している。デザインをしている人は同じである。にもかかわらず、なのである。 ひとつの作品の広告を時系列でみていくと、また興味深い。 最初の広告が、映画公開後の観客のいりによって、コピーも絵柄もどんどんかわっていっている。映画を媒体に、広告を作る側と観る人が、気持ちのキャッチボールをしているのが、よくわかる。広告とは、本来そういうものではあると思うが、これまで、新聞広告に目を配ったことがなかったので、気付かなかったのだ。 この本は、そういう意味で、編集を担当して新たな発見がたくさんあるおもしろい本だった。新聞広告のデザイナー、コピーライター、映画宣伝マンの想いなども、収録した座談会から十分に伝わってきた。ひとりのベテラン宣伝プロデューサーの生き方までも伝わってきて、感心したり、みずからの仕事のやり方とひきくらべたりまでしてしまった。 多くの読者に、絵柄の変遷だけでなく、ぜひ、そうした部分までに関心をもってもらえたらうれしい。(ゆ) | |
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「アニメーションを展示する」が7月25日からいよいよ発売になります。この本は「三鷹の森ジブリ美術館」で公開中の企画展示「千と千尋の神隠し」を一冊にまとめたものです。 企画展示「千と千尋の神隠し」の狙いの一つは、「もの」を展示すること。展示室には、スタッフが描いた背景や原動画からはじまり、スタジオに貼られていた落書きやメモの類まで、あらゆる「もの」が所狭しと展示されています。 この「もの」の存在感を生かした本にするため、今回は、展示用のパネルなどを一つ一つ撮影、それをA4サイズで大きく見せる写真集のような構成にしました。そうすることで「もの」がいっぱい飾り付けられている展示の雰囲気が伝わるようにしました。大判の写真なのでパネルに展示されている背景のデティールもかなり見ることができます。またそれぞれの写真には解説をつけて、企画展示の副読本として楽しめるようになっています。このほか宮崎駿監督が企画展示の狙いについて語るロングインタビューに加え、西洋美術史の権威で元国立西洋美術館館長だった高階秀爾氏による寄稿もあります。 秋には「千と千尋の神隠し」の企画展も終了して、新しい展示に変わるそうなので、美術館訪問記念の1冊としても最適です。美術館を訪れた方、これから訪れる方、どちらの方にも楽しめる本だと思います。なお意外なことですが、一般書店で買えるジブリ美術館関連本は今のところこれだけです。(ね) | |
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「虫眼とアニ眼」を先日校了しました。 普通の人なら見逃してしまうような小さな虫でも発見する「虫眼」をもった解剖学者の養老孟司さんとアニメーション映画を作り出す「アニ眼」の宮崎駿監督の本です。二人は映画『もののけ姫』が公開された年の暮れから、3度にわたって対談を行ってきました。そこでは『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』のこと、自然と人間のこと、そして子ども達のことなどがざっくばらんに話されています。また、養老さんの書き下ろしの原稿「見えない時代を生き抜く----宮崎アニメ私論」、宮崎監督の描き下ろしカラー読み物「養老さんと話してぼくが思ったこと」が収録されています。 いつも一緒に行動するわけではないけれど、お互いに認めあい、たまに会う時には思うことを話し合い、ふだんは自分の目の前のできることに最善を尽くす。程良い距離感を保ちつつ、その間に大きなエネルギーが満ちているようで、読むと元気になってくると思います。ぜひ手にとってみてください。(R) | |
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映画公開に先駆け6月27日に発売されるフィルムコミック「ギブリーズ episode2」を校了しました。 「ギブリーズ episode2」は架空のアニメーション制作会社「スタジオギブリ」を舞台に繰り広げられる、普通の人々の日常を描いた25分の作品。繰り広げられるストーリーの内容によって絵柄が水彩画風、パステル画風とさまざまなタッチで綴られる個性的な作品です。 このフィルムコミックの構成を担当したのは岸川靖さん。フィルムコミックを作らせたら、おそらく日本では右にでるものがない! といわれるその道の大ベテランです。 個性的なこの映画作品はどんな構成になるのだろうと興味津々でした。そして、ようやくできあがってきた構成を見れば感心することしきり。映画のシーンをマンガのコマにおきかえた場合のコマ割り、描き文字の雰囲気や効果音のコマへのかぶせかた……。とにかく、映画の気分が伝わる構成でした。 百瀬監督も「あっ、なるほど……。面白いですね!」と頷いたり、映画の後半に登場する「エピローグ」を見ていただいたときには、「ここ(エピローグ)の絵の持ち味もあって、この部分はそのままマンガですといっても通用しそうですね」(笑)と楽しんでおられました。 それにしても、校正をしながら何度も思ったのは「カレーが食べたいなあ」ということ。劇中「カレーなる勝負」といわれる部分の校正をやるたびに、辛いカレーを思い浮かべては生唾を押し戻して……となりました。すっかりギブリーズのペースでした。(ぶ) | |
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5月14日、美術館で企画中のイベントの打ち合わせのために、作詞家で「ゼロになるからだ」の著者・覚和歌子さんと、ミュージシャン谷川賢作さんの家をたずねた。 打ち合わせをしていると、賢作さんのマネージャーをひきうけている奥様が戻ってきた。みんなに挨拶するとともに、覚さんと親し気な会話をしている。 聞くともなしに聞いていると、なんとふたりは、大学時代に一度出会っているのだそうだ。それも覚さんの在籍している大学に、すでに賢作さんと結婚していた奥様が、たった一度、自分の書いた詩集を学生に売りにきて、覚さんはその売り上げに協力するために、なんと、キャンパスで踊りを踊ったとか! (いったいどんな踊りだろう) しかし、そのたった一度の出会い以降、つきあいが続いたわけではなく、つい最近、谷川俊太郎さんと覚さんは知り合いになり、その息子である谷川賢作さんと朗読イベントの仕事をするようになり、そして、その奥様として、彼女に再会したのだそうだ。 「エーッ、そんな出会い方ってあるんだ!」「嘘みたい!」とか言っている間に、奥様から取り出された1枚の写真。そこには、その時のオカッパヘアーの大学生・覚和歌子さんが映っていた。 覚さんという人は、こういう不思議な出会いがたくさんある人だ。本のカバーの「面」を制作した結城美栄子さんの住むマンションが、覚さんに子守歌のCDの作詞を依頼しているお坊さんの住むマンションだったりするのだ。 谷川俊太郎さんは、「ゼロになるからだ」によせてくれた文の中で、覚さんのことを、現代の巫女と読んでいる。 こういう出会いの話を聞いていると、彼女の静かな普段の顔とはちがう原初的磁力をもった巫女の顔を感じてしまうのは、私だけだろうか。(ゆ) | |
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私にとっては初めて担当する翻訳本。それが「ピノキオ」「ピーター・パン」など多数の名作に携わりディズニー黄金期を築いたアニメーター、フランク・トーマスとオーリー・ジョンストンの大著「The Illusion of Life」だったのです。翻訳・編集が始まってからあしかけ2年、何もかも想像を上回る作業量でしたが、関わってくださった皆さんに助けられ、ようやく完成し、発売となりました。出来上がった本はこの本の内容の濃さを表すかのようにズッシリと重く大きいです。 監修は、高畑勲監督、アニメーターの大塚康生さん、著者のドキュメントフィルム「Frank & Ollie」のプロデューサーである邦子・大久保・トーマスさんにお願いしました。日本とアメリカのアニメーション用語の違いなどをふまえながら、著者がこの本で伝えたいことがきちんと分かるか、丁寧にみていただきました。「アニメーションのバイブル」といわれる本書の内容を忠実に再現した日本語版となったと思います。 実際にはかってみると重さは2.3kg。書店から持って帰る時には気合いも必要となるでしょうけれども、エンターテイメントの王者、ディズニーの精神にのっとって書かれているので、読んでも、眺めても楽しい本です。どうぞ手にとって読んでいただければと思います。(R) | |
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4月20日、詩の朗読会に行った。出演者は、詩人の谷川俊太郎さんと「千と千尋の神隠し」の主題歌を作詞した覚和歌子さん。覚さんの書いた詩「からだ」を、おふたりが、輪唱のように読んだ。その詩を紹介する。 「うたを歌うための声だろう 演説するための声でなく 歌にすませるための耳だろう 何もかもを 聞き逃さないための耳ではなく いとしい耳たぶをそっとなぞるための指だろう おいつめるためにさす指ではなく ただ ダンスのための手足だろう 何かにしがみつくための ナイフを握るための手ではなく かかえこむための膝ではなく 踏みつけるためのかかとでなく 空に立てた指に 風を感じるための皮膚だろう 花びらをうけとめるための両肩だろう キスするためのくちびるだろう キスされるための頬だろう ひとつひとつが まちがいなく役割どおりに使われて はじめて 生かされるからだだろう 朝焼けを見るための あなたの瞳だろう たとえどんなに この夜が長く続くとしても」 なんともやさしい言葉を覚さんが紡ぎだし、それを谷川さんの知的な声と覚さんのよく通る声が、聞く人の耳に想いをまっすぐ届けようと、発せられる。 情報としてのことばではなく、想いをつたえるためのことば。携帯電話、メールと、ものすごい勢いで、ことばが空間に投げ出されていくいまだからこそ、言葉を身体で 発し、うけとめるこうした朗読会が、多くの人を魅了するのだと思う。 覚さんの優しいことばを詰め込んだ本ができた。「ゼロになるからだ」。朗読の現場に行けなくても、まず、目で読んで感じてほしいと思う。もちろん、「いつも何度でも」もこの「からだ」も収録されている。(ゆ) | |
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春からジブリ出版部のスタッフになった禰津(ねづ)亮太です。社会人になって10年を超えましたが、電車で定時に通勤という生活は実はこれが初体験。これが存外楽しく、読書タイムとして活用しています。読む本はライトノベルからノンフィクションまで手当たり次第。最近読んだ中では『ビートのディシプリン』『ジェイミーが消えた庭』『「隔離」という病』が刺激的でおもしろかったです。ジャンルは違えど自分も読者を刺激するような本を送り出せたらと思っています。(亮) | |
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男鹿和雄さん、井岡雅宏さんに続く、3冊目の美術画集ができました。アニメーションの美術は、現在、より緻密さを求め、ひたすら描きこむ方向に向かっています。「千と千尋の神隠し」の美術を見ても、それをわかるはず。
そんな中で、「そんなに描きこまなくても、描き方によっては、こんなに世界をしっかりと構築できるのか」という見本が小林さんの絵です。 たとえば「ガンバの冒険」。ネズミの視点を強調するために、濃い黒い線を勢いよく背景画の上に描き足しています。「うる星やつら ビューティフルドリーマー」では、思い切りのよいざっくりした筆使いで異世界を構築。「家なき子」の背景では一転、ヨーロッパのすんだ空気感を、スーッとした絵具使いで再現しています。 どれも厳しいスケジュールの中で、より効果的にかつ効率的に作品世界をつくるために、演出家と小林さんが論議しながらつくりあげたものです。 小林さんの弟子筋にあたる男鹿さんが、できあがった本を見て「いまの若いスタッフにぜひ見てほしい」と言ってくれました。 これは、描き込みだけが、武器ではないということを知ってほしいという意味だと思います。 小林さんの気持ちよい描きっぷり、多くの人に見てもらい、何かを感じてもらえればと思います。(ゆ) | |
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このプロジェクトは、去年のゴールデンウィークにピクサーを訪ねた時、ジョン・ラセターさんから「僕たちがずっと作りたいと思っていた本がやっと出版されるんだ!」と熱く語っていただいたのがきっかけでした。ジブリ出版部では、ジブリ作品以外でも良質のアート本があれば出版したいと考えていましたので、ラセターさんに「是非これをジブリで出版したい!」と提案したら、とても喜んでくれました。映画が出来上がるまでの過程で描かれた絵ばかりを集めたこの本は、確かに一般向けの本ではないかもしれませんが、スタジオジブリだからこそ、こういう本を出版する意味があるのだと自負しております。 "ジブリならでは"といえば、特別リーフレットには、「モンスターズ・インク」の監督でこの本の解説も務めたピート・ドクターのインタビュー記事が掲載されています(聞き手:ジブリCG部の片塰満則)。ドクターさんは2月15日にジブリに遊びに来ましたが、名刺に"The World's Tallest Animator"と書いてあるだけあってデカい! でも、"子供心"を忘れていない好奇心旺盛な人で、こういう人たちがピクサーの映画を楽しく暖かい作品にしているんだなあ、とつくづく思いました。 というわけで、是非お買い求め下さい! さて、私事ですが、今回が編集者デビューとなりました。本業の海外事業局の仕事も忙しいのに身が持つだろうか? 机に座ってじっくり作業するタイプじゃないし、日本語もメチャクチャだし、務まるのだろうか? という不安もありました(1月の出版部だよりに「『私には、向かない仕事だわ。とてもできない!』と言ったスタッフがいる」とありますが、あれはたぶん私です。)が、何とか終わらせる事が出来ました。特に翻訳の那波さん、レイアウトの真野さん、校正の田宮さんにはお世話になりました。T部長に「クビだ!」(?!)と言われない限り、編集の仕事を続ける予定です。(み) | |
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ジブリの本がすべてそろうジブリ関連書常設店ができました。 ひとくちに「ジブリの本」といってもその内容は絵本、コミック、文庫、書籍、雑 誌など多岐のジャンルに分かれています。そのため書店では様々なコーナーに分散して置かれることに。 これに対して「わかりにくい」という意見がよく寄せられます。どんな本が出版されているか把握している私達ですら、見つからなくて書店の中をウロウロ探し回ることもあるので、頷ける意見です。それに本を選ぶ立場からすれば沢山あるなかからいろいろ吟味して本を選びたいというものです。 そんな悩みを解決できる、ジブリの本がすべてそろうジブリ関連書常設店ができました。 どの書店も力のはいったコーナー展開です。ぜひ、足を運んでみて下さい。(ぶ) | |
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絵コンテ全集全13巻が2月発売の「ホーホケキョ となりの山田くん」で、完結する。一昨年の秋から作業しはじめて現場の中心担当者は3人変わった。全員女性。どの担当者も色校正が「とても大変」と苦労している。1コマ1コマ赤字をいれて、多いもので600ページ強を校正していくのだ。初校を見終わるのに、ほぼ1週間かかる。毎日、机の前に何時間も座り続けて、である。そんな作業を見て、いつも前だけ見て、あちこちを走っている感じのスタッフが言った。「私には、向かない仕事だわ。とてもできない!」と。 向くとか向かないにかかわらず、仕事は存在する。で、担当者たちは、もくもくと座り続け、昼食は、その場で、パンをかじりながらというふうになる。時折、机の上に置かれた携帯電話がなったときだけ、外とつながるという感じで、ひたすら赤いボールペンを握る。夕方ころになると、腰が痛くなり、目もチカチカしてくる。 そんなコツコツとした作業も、もう一息でおしまいだ。現在の担当者も「先が見えましたね」と最近やっと表情に余裕がでてきた。願わくば、これだけ時間をかけて出版した本が、長く生き残り少しずつでも版を重ねていければと思う。(ゆ) |
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