それは、1本のアニメーション映画から始まった。2000年に公開された『岸辺のふたり』(監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)は、わずか8分間という短編にもかかわらず、父娘の愛おしい絆を丹念に描き、世界中を静かな感動で包み込んだ。そして、アカデミー賞短編アニメーション映画賞など世界各国の賞を多数受賞。同作を観たスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーの、この監督の長編を観てみたいという気持ちが出発点となった。はじめての長編制作の打診を受けたマイケル監督は、尊敬する高畑勲監督から、長編映画の制作について助言を受けることを条件にこれを快諾。高畑監督参加のもと、スタジオジブリとシナリオ・絵コンテ作りから効果音・音楽にいたるまで、あるときは直接会い、あるときは海の向こうからデータを送って、節目節目で打ち合わせを重ねた。アニメーション制作の実作業はフランスを中心に行われ、実に8年もの歳月をかけて遂に完成させた。
マイケル監督が、圧倒的なアニメーションの表現力で描く本作は、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にて特別賞を受賞。この秋、フランス発スタジオジブリ最新作が、日本中を席巻する!