2001年7月

7月1日(日)
 午後から、イマジカで0号試写。試写前に音響スタッフが、最初のロールをチェック。一部の音がサラウンドで回ってくれない事が発覚。全国の劇場をチェックして回るのか・・・との一幕もあったが、調査の結果、試写室の機器の不調が判明。スタッフ一同胸をなで下ろす。0号試写は細かな問題はあったが、明日の初号は無事迎えられそうだ。

7月2日(月)
 午後5時半からイマジカ第一試写室において初号が行われる。スタッフ一同試写室に集まり、完成したフィルムを観る。とにかく間に合ってよかった~。


7月3日(火)
 初号試写が終わってちょっと油断したのか、制作・神村氏が誤って携帯の住所録を全て削除してしまう。部分的にパソコンに保存していたデータを移し、後は手入力で泣きながら入れることに。復旧するにはかなりの手間らしい。


7月4日(水)
 7時より2スタ地下試写室にて「千と千尋」の試写を行う。イマジカと違って座席数も少ないため、3日間、計5回に分けて行う予定だ。イマジカでも3日間行ったのだが、今回は参加スタッフの人数も多く、これだけやっても各回ほぼ満員状態。


7月5日(木)
 「千と千尋」メインスタッフルームの席の移動が本格化。明日には○○○班へ明け渡ことになる。多い人でダンボール数箱分の荷物が山積みになっているが、みな「いつの間にこんなに荷物を持ってきたのだ?」と首を傾げている。それだけ長かったってことか。


7月6日(金)
 高橋、望月各氏やポスプロ班の面々は、DN初号、SR、ドルビーデジタル、DTS、DLP等々テスト試写漬けで、さすがに「いやーもう○回目ですよ。こんなに見られてうれしいなー」と顔を引きつらせている。


7月7日(土)
 朝8時から日比谷スカラ座で、完成披露試写会用のフィルムチェックを行う。ジブリからは古城、奥井、望月、高橋、稲城氏等が参加。


7月9日(月)
 制作部の引越しも始まる。第一弾として望月氏が一階へ。


7月10日(火)
 昨日の写真データを自動で縮小しようしたところ、時間がなんと26時間かかると表示される。しょうがないので、途中でフリーズしないことを祈りつつ作業開始。

 スカラ座にて「千と千尋の神隠し」完成披露試写が行われる。ようやくここまでこぎつけたか…という感慨に浸る間もなく会場に駆り出されるスタッフもいて、製作業務部はがらんとしていた。

 「ギブリーズ」班にて原画・山田さんが作打ち。


7月11日(水)
 7月18日に行われる「千と千尋」の打ち上げパーティーについて打ち合わせが行われる。もう日にちがないので、みんな必死の形相で会議に臨んでいる。

 ギブリーズルームに机とコンピューターを運び込んだり、3スタ2階にあった巨大な事務机を作画机と交換したり、と制作が引越し屋さんになる日が続いている。


7月12日(木)
 映画のPR活動が行われる「千と千尋」ナイターに、団扇配りなどで社内からもスタッフが東京ドームに駆り出され、昼過ぎには制作はもぬけのから。プロデューサーの高橋氏までが、電話の取次ぎに駆り出される状態だった。


7月13日(金)
 現在制作では、我も我もとコーラを飲んでいる。飲みきれずお客様に差し出すほどあるのに、それでも買いつづけているのは猛暑のせいではなく、オマケに目がくらんでいるからなのだが。


7月14日(土)
 東京都写真美術館へ「宮崎駿 漫画映画の系譜」に使用したフィルムを回収に行く。この猛暑の中、制作・神村氏は汗だくになって帰ってくる。35mmのフィルムは思ったよりはるかに重く、大変かさばるものなのだ。


7月16日(月)
 朝10時から制作会議。現在進行している森田監督の△△△、百瀬さんのギブリーズ等の制作体制の確認。うーん、人が少ないような・・・。


7月17日(火)
 明日の打ち上げの前にスタッフの集合写真をとることが急遽決まり、集合時間変更のお知らせに追われる。ここのところ引っ越した方や、スタジオを移った方もいて、電話番号の再確認等に少し手間取った。

 先日上がった○○○Aパートの絵コンテを各所に配るためコピーする。毎度のことながら数が多くて、コピー機は一日中フル回転。A4のコピー用紙も一箱空になり、トナーも交換。しかし、やはりこれが無くては、制作が始まった気がしない。
 通称「鳥小屋」に布団を入れる。


7月18日(水)
 17時より吉祥寺第一ホテルにて、「千と千尋の神隠し」打ち上げパーティーを行う。制作はお土産の搬入のため、先に現地入りして開場を待った。続々とやって来るその参加人数は300人を越え、広いはずの会場が狭く感じられるほどだ。会場には主演の柊瑠美さんや我修院達也さんらも駆けつけ、大いに盛り上がる。打ち上げ終了後も、各々連れ立って2次会へと向かう人も多数見受けられ、長く苦しかった制作の労を互いにねぎらう夜となった。
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あまりの人数の多さに記念撮影も二回に分けて行われた。


7月19日(木)
 ○○○作打ち。午前中は大平さん。その後、賀川さん、稲村さんが続けて行う。ところで、制作のシステムがまだ決まっていなかったため、若干制作とメインスタッフとの間で行き違いが起きる。う~ん反省。

 制作部を含め、1スタ2階を大改造するため、棚の整理に着手する。すると、尋常ではない量の紙ごみが出てしまった。整理はこまめに行わなければと反省。


7月21日(土)
 昨日の「千と千尋の神隠し」の初日では、日比谷のスカラ座で2000人が並び、とりあえず大入りという結果に、制作も一安心。ちなみに前夜にお忍びで日比谷に様子を見に行った鈴木プロデューサーは、たくさんの熱心なファンにいともたやすく発見され、2時間ほどサイン攻めにあったそうだ。


7月23日(月)
 明日の総務、経理の大移動に備え、1スタ2階の制作部屋を整理する。会議室に使っていた通称「金魚鉢」の壁も取っ払い、長年使った棚を破棄するなどして、場所を確保した。猛暑の中、大量にたまった原画や新しく届いた動画机を運ぶなどの肉体労働で、汗だくになった。韓国班の4人と古城氏が、「千と千尋」のフィルムを持って成田空港へ出発。明日あさいちの飛行機で韓国へ出発。


7月24日(火)
 鈴木プロデューサー、宮崎監督らが、韓国に出発する。今回お世話になったDRデジタルやJEMのスタッフに「千と千尋」を見てもらうためと、目前に迫ったトトロ韓国公開の記者発表を行うため。

 総務、経理の2つの部署が、制作のいる1スタ2階のフロアに引越しする。「この狭いところにまじか?」とか、各部署の思惑が交錯する中、大まかな机等の移動は完了。明日は利害調整の後、細かい仕上げを行う予定だ。


7月25日(水)
 午前中から宮崎監督、鈴木Pらが、DRとJEMを訪問、スタジオを見学する。そして午後からソウルアニメーションセンターにて「千と千尋の神隠し」の上映を行う。会場はDRとJEMのスタッフで満員。またDR釜山からも40人ものスタッフがバスで駆けつけてくれた。みんな楽しんでくれたかな。一方、宮崎監督の記者会見も新羅ホテルで無事行われる。
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プサンDRとの記念撮影。仕事の合間を縫い、5時間かけてソウルへ来てくれた。


7月26日(木)
 昨日は土用の丑の日ということで、制作の渡辺、神村両氏が、珍しく若い2人にうなぎをおごってやろうと、武蔵境へ向かう。皆の期待通り、神村さんはうな重大盛り。社内の引っ越しで肉体労働続きの身にはいいスタミナとなった。

 韓国出張スタッフが無事帰国する。「なんでみんな宮崎監督の顔を知っているの?」と、行ったスタッフが驚くほど、ホテルで、食堂で、空港で、と何度もサイン攻めにあっていたそうだ。


7月27日(金)
 ○○○準備室だった3スタ2階のスペースに、△△△の作画スタッフが仮に(9月になるとここは△△△の美術班になり、1階メインスタッフ横は新たな作画スペースになる)入ることになり、仮置きしてあった「千と千尋」の原画を全て美術館へ運ぶことに。段ボール箱25箱分の大移動に、2日後の筋肉痛が怖いところだ。


7月30日(月)
 2時より原画・芳尾さんが○○○の作打ちを行う。
 1スタの△△△スタッフが、3スタ2階に引越し。歩いてわずか数十秒の距離だが、荷物運びのために、何度も蒸し暑い外に出なければならないのがつらい。


7月31日(火)
 明日行われる原画テストの課題を決めるのに、どんなカットを出せば実力を見極めることができるのかギリギリまで悩んでいた。