2001年1月

1月5日(金)
 制作部で貯めに貯めたマク○ナルドの引換券を斎藤、伊藤コンビが商品に交換すべく近所のマク○ナルドへ。その数、飲み物も合わせなんと173品。店員さん引きつった笑いを浮かべつつ、はんばヤケ気味に「チキンナゲット32個!! コーラ20!! ウーロン茶29!!・・・」と怒鳴りまくっていたとか。会社に戻った二人は早速金魚鉢へ商品を並べスタッフに大放出していた。

 △△△班では、監督からコンテの進行状況を確認し、今後の作打ちをどう進めるかを話し合う。また、席替えを行ったので、CG部・北河内さんを拉致してネットワークの配線をやり直す。てきぱきと半日で終了。さすがだ。

 今日は宮崎監督の誕生日 & 還暦。監督出社を前に昨夜から作画稲村氏を中心にお祝いの飾り付けが行われ、出社と同時に盛大にお祝いが行われる。監督も大感激。
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あまりに怪しいかぶり物・・・


1月6日(土)
 昨日宮崎監督のラフコンテがアップし、大まかな総カット数が出る。神村氏は今日も原画を増員すべく、某氏に会いに外出。

 △△△班の撮出し作業用のマックが立ち上がる。今後、どうコンピューターを上手く利用していくかを詰めねば。また、コンテのアップについて監督と軽く打ち合わせ。Aパートアップの日付を確認。

 「式日」も続くスタジオカジノ実写第二弾「サトラレ」へのページリンク開始。覗いてみて。


1月9日(火)
 △△△班の作打ち第1弾の日程がほぼ固まり、来週頭から順次行うこととなる。

 ついに「千と千尋の神隠し」の絵コンテが完成。ラフと比較して思ったよりカット数も増えずに完成し神村氏もホッと一安心。早速コピー機フル稼働でコピーし、スタッフに配付。夕方には会社のあちこちで完成した絵コンテについての議論が行われていた。


1月10日(水)
 一安心したのもつかのま、神村氏は残りカット数から原画と動画の人員配置の確認作業に忙しい。今のままのペースでは上がらないことはわかっているので、一人一人のペースを上げつつ、人数的にも大増員は必至。社内ではコンテが終わったということで、いよいよラストスパートという気分が盛り上がってきた。勿論宮崎監督も一気にエンジンがかかってきたようだ。


1月11日(木)
 △△△班メインスタッフ用の側机を買いに行く。ついでに美術棚の材料となるベニヤ板も購入。かなりの重さとなる。ひょっとして明日はまた大工仕事か?

 △△△原作者の○さんが旦那さんと来社。三スタで進行具合を見学。スタッフはちょっとドキドキ。

 深夜△△△班森田さん宛に奥さんから産気付いたとの電話があり、急遽タクシーで帰宅。


1月12日(金)
 百瀬さんが急遽「千と千尋の神隠し」の原画に参加。早速打ち合わせを行う。また○○さんや△△さんも原画として参加が決まる。

 森田さんから次男誕生の知らせ。昨日から徹夜だったので今日はお休み。早速机をお祝いモードに飾り付けを行う。


1月13日(土)
 森田氏の机の周りがジブリの伝統に乗っ取り、一杯の飾り物で埋め尽くされる。出社と同時に出産おめでとう色紙が手渡され、演助鶴岡氏の買ってきたクラッカーが打ちならされる。二度目とはいえ森田氏はとてもうれしそう。
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残骸を投げつけた人はいませんでした。

 終わったはずのコンテの修正作業が終了し、宮崎監督は神村氏と原画メンバー一人一人のデータを見ながら、残りどれだけの原画が出来るかの検討に入る。


1月15日(月)
 △△△演助・鶴岡氏が必死にレタスの勉強をしている。しかしマニュアルだけでは判りづらいらしく、悪戦苦闘のようだ。そのレタスや特効について、17日にT2と打ち合わせをして、より詳しく話を聞くことになる。


1月16日(火)
 △△△のコンテAパートの三分の二が決定稿として上がる。一部未定のシーンもあるが、まとまったコンテはやはり迫力がある。さっそく明日からの作打ちに向けて、メインで設定の詰めなど打ち合わせが行われる。

 23日に行われる健康診断に向け、ダイエットに励むスタッフの多い中、ダイエット競争をしていた、神村、渡辺両氏が周りを陥れるため、インターナショナルの武田さんにもらったカレーセットを使ってカレーパーティを計画している。豚カツや餃子を入れて周りの人たちの体重を増やし、相対的に自分たちがやせているように見せかけるという作戦のようだが、どう考えても彼らが一番食べるはずなので、逆効果と思われる。


1月17日(水)
 4スタ田辺氏が夜遅くまで仕事をしていたところ、スタジオの周りを何かの忠告をしながら消防車が走り回っている。聞こうと思うのだがどうも何を言っているのか聞こえない。気になってしょうがなかったので、帰りに交番で聞いてみたところ、近所のガソリンスタンドで灯油と勘違いしてガソリンを売ってしまったらしく、そのままストーブに使うと爆発する危険があるので警告をしていたらしい。その後買った人が見つからなかったのかヘリコプターまで動員して警告を続けていた。おそろし。

 △△△班メインスタッフがT2スタジオへ。デジタルについて知識が乏しいため撮影監督の高橋氏を3時間半にもわたり質問責めにする。

 △△△班の作画打ち合わせが始まる。

 100カットほどたまった作監上がりを早急に流すため、神村氏が動画スタジオ回り。とりあえず三つのスタジオが新たに動画INすることに。


1月18日(木)
 音響班が音取りのため温泉を探している。広い木造の風呂を探しているのだが、ジブリ温泉部の田中、西岡両氏は、喜々として「仕事だから協力しなきゃ」とインターネットやらガイドブックやらで温泉案内をうれしそうに見ている。

 作打ちが始まった△△△班だが、机と机の間に入れる棚がなくて不便なため、なんとなくぴったりくる棚を買ってくる。これで完璧か、と思ったら、今度はゴミ箱がないことを発見。明日にでも買いに行くことに。


1月19日(金)
 神村氏が新たな動画スタッフを獲得すべく朝から作画スタジオ回り。その甲斐あって某プロダクションが参加してくれることに。
 △△△の美術ボードについて話し合いを行う。色指定を潤滑に進めるため、全体で20枚ほどのボードを先行して描くことになる。
 若者達の一行が社内を歩いてるので何事かと思ったら、高畑監督が教鞭をとっている日大の教え子さん達のスタジオ見学だった。


1月20日(土)
 今週レイアウトが59カット、原画が41カットアップする。いよいよラストスパートに入ったかと喜んでいたら、神村氏がふらりと来て「週60カット上がってくれないと・・・」とボソり。
 会議室に動画スタッフを集め、チェックや神村氏から状況説明と、いっそうの奮起をお願いする。
 大雪のため、制作陣が暗い顔をしていたら、宮崎監督が制作部に来て「この日を待っていたのだ。ようやくスタッドレスの威力を発揮できる時が来た。ガハハ」とうれしそうに去っていった。
 △△△の絵コンテに細かい変更点が出る。105枚中41枚が微妙に変わることになったのだが、部分的な差し替えは混乱の元となりそうなので、全て取り替えることにする。
 △△△コンテその他一式を色指定・○○氏に届ける。しかし、某劇場用長編の作業が過酷なため満身創痍の状態だった。
 △△△原画・○○さん作打ち。23カット分をお願いする。


1月22日(月)
 着々と作打ちをこなす△△△班・・・といきたいところだが、監督が風邪でダウンしたので本日はお休み。しかし、連絡の行き違いで、本日打ち合わせ予定の○○さんがジブリまで来るという非常に申し訳ないことをしてしまった。監督の回復が待たれる。

 このくそ忙しい中、演助の高橋氏がロードレーサーを買うため高坂氏等に相談を持ちかけている。「痩せるために自転車だ」と意気込んだは良いが、某自転車屋では、体型を見られたのか「いやーこちらの方が」とクロスバイクを進められ、「それなら通販だ」とカタログを見て良いフレームがあったと思えば、高すぎたり、体重オーバーだったりと購入への道は遠い。


1月23日(火)
 朝から健康診断が行われる。昨日の夜から検査が終わるまでは一切何も食べられないため、あちこちで空腹に耐えきれず苦悩の声が響いていた。また、風邪をひいたからと言って検査を受けずに済まそうとしていたダイエットクラブ渡辺氏にみんなの非難が集中、結局体重測定のみ行うことに。結果驚くべきことに昨年より体重が減っていることがわかり、渡辺氏は「当然でしょう」と勝ち誇っていた。

 徳間書店から徳間社長の銅像が届く。早速宮崎監督は、入り口前の徳間社長が寄贈した「志雲より高く」の石碑横に設置場所を決定、製作陣が重さ100キロを超えるかという大理石の台座もろとも運び込む。
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▲体重計に自信満々で乗る渡辺氏と、銅像設置中の宮崎監督。

 三スタ△△△班監督が風邪から復活し、スタッフもほっとする。しかし本調子では無いため今日は早めに帰宅となった。一方、美術机や三脚が到着。作画の方も意外と広く席が取れたので一安心する。Zライトも取り付け、後は棚を作るばかりだ。


1月24日(水)
 レイアウトが1日10カット以上上がってくる。その代わり原画が先週の反動からかちょっと一休み。

 △△△の参考のため、演助鶴岡氏が東小金井南口のパン屋さんMダックへ。ご主人の許可を得て厨房内をデジカメで撮りまくる。ちょうど昼前とあってせっせとパンを焼いているところ。そのあまりの良い香りに、取材後ちゃっかりパンを買ってきてしまった。

 同じく△△△の参考用に「こねこのチグラーシャ」というロシア映画を借りて猫の歩きを見る。ところが仔猫のあまりの可愛さに、つい仕事そっちのけで夢中になってしまった。


1月25日(木)
 原画の山形さんが40カット分のレイアウトを上げる。神村氏は「これで今週も・・・」とにんまり。

 動画スタジオをさらに拡大すべく、神村氏が精力的に動いている。残りの数字を見るとまだ増やさなければならない。

 △△△班に原画として参加する○○氏が来社。来週の作打ちに向けて監督の森田氏から作品の説明、制作から条件等の話が行われる。


1月26日(金)
 石畳の音取りの為、次の日曜日に真っ赤な某車を借りていわき市にある某オーディオメーカーの実験施設に行くことに。ただ今夜から雪が降るとの予想。スタッドレスタイヤは無いし、そもそも雪が降ったら石畳もへったくれもない。なんとか天気になることを祈るのみ。

 今日はテレビで「もののけ姫」のテレビ放送があるが、その際「千と千尋の神隠し」の予告編が流れる予定。視聴者の感想が気になるところ。


1月27日(土)
 天気予報を遙かに上回る大雪のため、明日のいわきでの音録りは中止となる。

 積もった雪で千に登場するキャラクターの雪だるまを、某スタッフがジブリ横に作る。似ているともっぱらの評判。


1月29日(月)
 △△△班で○○さんの作打ち。53カットお願いする。これでトータル175カット、着々と作打ちが進んでいる。

 3スタのQARを地下室より引き上げる。場所が無くて地下室に置いていたのだが、ここは元来サーバーを置くための場所で、湿度、温度とも生身の人間が長時間居続けるにはやはり不適当だった。しかし制作の席をQARに譲ったため、出口、居村の制作両氏は、PCを抱えて3スタ内の各所を転々するという、さまよえるジプシー状態となってしまった。


1月30日(火)
 徳間インターナショナルのアルパートさん以下三名が豚屋にオフィスを持つことになり、鈴木さんの命で渡辺さん等2名が机と引出しの組立に向う。すぐ終わると考えていたのだが、このデンマーク製の机、やけに安いと思ったら、部品が完全にバラバラになっており、組立の人件費をかけていない代物であった。組立マニュアルと悪戦苦闘した末、完成したのが午後6時。久々の大工仕事に二人とも疲れきっていた。


1月31日(水)
 ○○さん作打ち。15カットをお願いする。10ン年ぶりにお会いしたのだが、案の定「昔は若者だったのに年取ったね~」と言われる。

 昨日△△△の動画注意事項の仮案を、色指定○○さんと動検□□さんに渡す。○○さんは、某長編作品で修羅場ということもあり、かなりお疲れのご様子だが、我々には優しく接してくださるのが嬉しい。

 △△△班で使う美術棚を全て作り終える。これで明日からINする背景さんを待つばかり。