「野中くん発 ジブリだより」2021年10月号

 アメリカのロサンゼルスで9月30日(木)、アカデミー映画博物館が開館し、オープニング記念企画の1つとして「宮崎駿展(原題:HAYAO MIYAZAKI)」が始まりました。同館は、米アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが初めて自身で創設した米国最大の映画博物館で、当初はもっと前の開館予定でしたが、新型コロナウイルスの影響などもあり変更の後、この度、待望のオープンを迎えました。今後、ハリウッドの新名所の1つとなる施設でしょう。

 オープニング記念企画の中で、1人の監督を特集した展示は「宮崎駿展」が唯一です。4年以上前にオファーがあり、以後、先方担当者はジブリ側担当者と地道な、しかし密度の濃いやりとりを重ねて、北米初となる、宮崎駿監督の大規模な回顧展を完成させました。展示品は約400点で、さらに映像も随所で投影しながらこの展覧会は構成されています。普段だったら、ジブリ側担当者が少なくとも最終段階で渡米し現地で作業に立ち会うところですが、依然続くこの新型コロナウイルス感染状況のせいで、確認作業はすべてオンラインで行われました。会場は何せ海の向こうですから、最終段階の約2週間、ジブリ側担当者はオンラインでやりとりをする大変さに加え、時差のせいでさらに色々大変だったようですが、なんとか乗り切って現地をサポートし続けました。

 この原稿を書いているのは9月中旬なので、実はまだオープンしていないのですが、出来上がった会場内を、先方担当者が一足早くオンラインで案内してくれる〝ツアー〞を拝見することが出来ました。大半のジブリもの展覧会と違い、今回はいわゆるキュレーションを先方が行っていて、新鮮な楽しさを感じました。感染予防に十分注意しつつ、多くの人に観てもらえることを期待したいですが、現状では日本から観に行くのは難しそうです。ともあれ、チケットは日時指定の予約制ですので、興味のある方は公式サイトをご覧下さい。展示期間中は宮崎駿監督作品の上映予定もあり、告知がこのサイトに出るはずです。
https://www.academymuseum.org/

 また、図録も完成していてこちらは先日現物を手に取ることが出来ましたが、大変充実した内容で、これも先方の編集なのでいつもと違う新鮮さを感じました。

 最後に別の展覧会情報を。「高畑勲展」が新潟県立近代美術館で開催中です。こちらもどうぞ宜しく。