「野中くん発 ジブリだより」9月号

 スタジオジブリでは例年、8月15日を含む週が夏休みとなります。去年から山の日が始まったので、今年は8月11日(金)から20日(日)までの10日間、連続休暇となりました。天候が今ひとつだったのは残念でしたが、スタッフはおおむねゆっくりと休むことが出来たようです。もっとも三鷹の森ジブリ美術館は当然ながら夏休みはなく、毎日沢山のお客様にお越しいただきました。企画展示「食べるを描く。」も相変わらず好評で、有難いことです。8月19日(土)には三鷹の阿波踊りが中止になるほどの激しい雷雨がありましたが、ほぼ問題は無かったようです。

 さて、先月お披露目がありましたが、宮崎駿監督が機体の塗装デザインを監修し、鈴木敏夫プロデューサーが尾翼の社名を揮毫した水陸両用飛行機が今、瀬戸内海などの空を飛んでいます。広島県尾道市に本拠を置くせとうちSEAPLANESが昨年、日本で半世紀ぶりに水陸両用機による遊覧飛行等の航空運送事業をスタートさせましたが、その1周年を記念して塗装された特別な機体です。昨年、たまたま縁があってこの件の打診を受けたのですが、宮崎監督がその水陸両用機の機体を気に入り塗装デザイン監修をすることに。さらに話が進むうちに鈴木プロデューサーも一肌脱ぐことになって紋章周りの社名の揮毫(きごう)をし、この度晴れて塗装が完成、運航開始となりました。愛称は「ラーラ ロッサ」。〝赤い翼〞という意味のイタリア語の言葉をベースにして命名されました。この機体が多くの人に愛され、また、水陸両用機による航空事業が発展することを期待したいです。

 ところでちょうど広島では、熊野町の筆の里工房で「スタジオジブリ 鈴木敏夫 言葉の魔法展」が開催中です。先ほども揮毫の話に触れましたが、この展覧会は、これまで鈴木プロデューサーが書いてきた様々な書や、ジブリ作品関連の膨大な手書き資料、あるいは名台詞を書き下ろした書やキャラクターデザイン、イラストなど、〝手書き〞と〝手描き〞の両面にわたる多数の展示で、言葉の魅力を表現しています。熊野筆はジブリの美術スタッフもよく使っており、そうしたこともあって、筆の里工房ではこれまでにもジブリ関連の展覧会がいくつか開催されてきましたが、今回は一段と筆と関連の深い内容と言えそうです。会期は11月5日(日)まで。中国地方にお住まいの方、あるいはお越しの方はぜひお立ち寄り下さい。