「野中くん発 ジブリだより」 6月号

 すでに報道されたとおり、先月開催された第69回カンヌ国際映画祭で、スタジオジブリ最新作「レッドタートル ある島の物語」(マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督)が「ある視点」部門の特別賞を受賞しました。"映画そのものが特別""映像と音のポエジー"と高く評価されての受賞です。カンヌ国際映画祭は毎年5月の開催なので、ジブリの新作はいつもまだ制作中で出品は無理でした。しかし本作は春に完成したので、ちょうどカンヌに間に合いました。賞の対象となる、オフィシャルセレクションの「ある視点」部門に初めて出品出来た新作が賞を頂けて本当に嬉しいです。日本公開は9月17日(土)。ご期待下さい。

 ジブリの新作といえば、小金井のスタジオで現在制作中の、三鷹の森ジブリ美術館オリジナル短編アニメーション「毛虫のボロ」(宮崎駿監督作品)ですが、5月9日(月)に最初のラッシュがありました。この作品はこれまでの方法を大きく変えて、CGを制作工程の中心に用いています。そのため、制作開始から初ラッシュまでいつになく時間がかかりましたが、ラッシュを経て20カットほど完成カットが上がりました。私も観ましたが、映像の質の高さがすごかったです。今後もさらに制作を続けていきます。

 さて、愛知・新潟で好評を博した「ジブリの大博覧会」が、内容を大きく更新した上で遂に東京にやってきます。7月7日(木)から9月11日(火)まで、六本木ヒルズ展望台 東京シティビューにて開催。「風の谷のナウシカ」から最新作「レッドタートル ある島の物語」まで、これまでのジブリ作品がどのように生み出され、世に出て行ったのか。会場では当時を振り返るポスターやチラシといった広告宣伝物を中心に、制作資料、企画書など未公開資料を含む膨大な数の資料が所狭しと並び、ジブリの30年間の歩みを体感出来ます。詳しくは公式サイトをご覧下さい。
http://www.roppongihills.com/tcv/jp/ghibli-expo/

 なお、スタジオジブリでは5月26日(木)よりLINEの公式アカウントを始めました。「ジブリの大博覧会」を含む、ジブリのいろんな新情報を随時お知らせしていきますので、こちらもどうぞよろしく。

 最後になりましたが、ジブリ作品を支えるベテランアニメーターの1人だった二木真希子さんが病気のため5月13日(金)に亡くなりました。58歳でした。残念と言う他ありません。ご冥福をお祈りいたします。