「野中くん発 ジブリだより」 10月号

 10月17日(金)より「かぐや姫の物語」の北米公開が始まりますが、それに先立ち、9月にトロント国際映画祭で同作が上映されました。高畑勲監督も出席し、上映前に舞台挨拶。映画が始まると笑い声が頻繁に起こり、赤ん坊のかぐや姫の可愛らしい動きなどが大受けだったとのこと。でも悲しいシーンや緊迫したシーンでは一転して場内が静まり返り、みな息をのんでスクリーンに見入っていたそうで、本当に観客の反応が良かったそうです。上映後、高畑監督はQ&Aを行ったのですが、これも通常より長く熱心なやりとりがあったとのこと。北米公開に向けて弾みがついたのではないでしょうか。英語吹替版の声の出演ですが、かぐや姫にクロエ・グレース・モレッツ(「キック・アス」)、捨丸にダレン・クリス(TVドラマ「glee」)、翁にジェームズ・カーン(「ゴッドファーザー」)、媼にメアリー・スティーンバージェン(「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」)、相模にルーシー・リュー(「キル・ビル Vol.1」)などなど、豪華な布陣です。今回もスピルバーグ作品等のプロデュースで有名なフランク・マーシャルさんに制作指揮をお願いし、素晴らしい仕上がりとなりました。公開はプラットフォーム形式なので、都市部でまず始まり、徐々に広げて行くスタイルです。沢山の人に観て欲しいですね。

 さて、映画祭といえば、10月23日(木)から東京国際映画祭が始まりますが、目玉企画として「庵野秀明の世界」が実施されます。記者会見で語られていたように発案者は鈴木敏夫プロデューサー。庵野監督がこれまで関わったほぼ全作品が上映され、ジブリ関連の作品も数本ラインナップされていますが、中でも注目は10年以上前に三鷹の森ジブリ美術館の企画展示で上映されただけの監督作「空想の機械達の中の破壊の発明」でしょう。3分弱の短編アニメーションですが庵野監督のセンスが凝縮されており、今回を逃すと次の機会はなかなか無いと思われるので、是非どうぞ。

 最後になりましたが、宮崎吾朗監督がジブリを離れて取り組むTVシリーズ「山賊の娘ローニャ」がいよいよ10月11日(土)より開始です。NHKBSプレミアムで19時より放映、全26話(再放送は10月15日18時、以後毎週水曜18時半)。制作・著作はNHKとドワンゴで、プロデューサーは川上量生さん。アニメーション制作はポリゴン・ピクチュアズでキャラクターは全て3DCG、これは大いなる挑戦です。期待大ですね。