「野中くん発 ジブリだより」 2月号

 スタジオジブリ最新作の高畑勲監督作品「かぐや姫の物語」は依然大ヒット公開中ですが、お陰様で作品自体も高い評価を得ており、大変有難いことです。先日は毎日映画コンクールのアニメーション映画賞、日本アカデミー賞の優秀アニメーション作品賞を受賞しました。まだご覧になっていない方がもしいらっしゃったら、ぜひお近くの劇場でご覧下さい。「かぐや姫の物語」については、関連書籍も出揃ってきました。定番の『ジ・アート』、絵コンテ本が昨年12月に出て、年が明けて『アニメ絵本』と『フィルムコミック・上』が1月末に発売になり、『フィルムコミック・下』が2月末に発売予定です。ここに挙げた本はいずれも発売元は徳間書店ですが、『ジ・アート』と絵コンテ本はどちらも専門性が高い本なので、制作現場とダイレクトにつながっている強みを生かして、いつも通り編集をスタジオジブリ出版部が担当しています。2冊とも読み応え十分ですが、特に今回の絵コンテ本は、上映時間が長いことに加え、高畑監督の詳細な指示が盛り込まれ過去最高の分厚さとなっており、一読の価値があります。

 ところで、賞といえば、宮崎駿監督作品の「風立ちぬ」も、昨年末から海外での受賞が続いています。北米ではニューヨーク、ボストン、サンディエゴ、シカゴ、トロントなどの各地の映画批評家協会賞、そしてナショナル・ボード・オブ・レビュー賞を、それぞれアニメーション映画の部門で受賞しており、先ごろ米国アカデミー賞長編アニメーション映画部門にもノミネートされました。アカデミー賞については発表が3月2日(日)、日本時間だと3日(月)ですが、果たして今回はどうでしょうか。思えば「千と千尋の神隠し」がアカデミー賞を受賞したのは今から11年前のことでした。「風立ちぬ」は海外公開も順次進んでおり、昨年中に韓国、台湾、香港で公開され、1月22日からはフランスで上映が始まりました。北米では2月21日より限定公開、翌週の28日からは拡大公開となります。ロシアでも2月20日、オーストラリアも2月27日にそれぞれ公開予定で、各地で多くの人に観ていただけることを期待したいです。

 さて、スタジオでは、先月もお伝えしたように新作「思い出のマーニー」に昨年から取り組んでいます。監督はこれが第2作目となる米林宏昌くん。詳しい情報についてはすみませんが今しばらくお待ち下さい。