「野中くん発 ジブリだより」 11月号
2013.11.1011月23日(祝)土曜日、スタジオジブリ最新作にして高畑勲監督14年ぶりの劇場用長編である「かぐや姫の物語」がついてに公開されます。この原稿を書いている10月中旬の時点では、まだ音関係を中心とした最後の仕上げ作業中ですが、10月末には初号試写を終えて完成しているはず。いよいよです。
改めて声の出演者をご紹介しますと、主人公のかぐや姫に朝倉あきさん。かぐや姫の幼馴染の青年・捨丸に高良健吾さん。そしてかぐや姫を育てる翁(おきな)と媼(おうな)に地井武男さんと宮本信子さん。さらに、高畑淳子さん、田畑智子さん、立川志の輔さん、上川隆也さん、伊集院光さん、宇崎竜童さん、中村七之助さん、橋爪功さん、朝丘雪路さん、そして仲代達矢さんと、豪華な面々がその他の役を演じています。かぐや姫の声の出演者は選考が難航しましたが、朝倉さんは数百人の中から"この人なら"ということで選ばれました。地井さんは昨年6月に亡くなっていますが、「かぐや」は声を先に収録するプレスコ方式を基本としているため、2011年夏に地井さんの声は収録済みで、それでこの出演が実現したもの。他の方々もいずれも素晴らしい方々ばかりで、存在感が際立っています。
音楽は久石譲さん。ジブリの宮崎駿監督作品はすべて久石さんでしたが、高畑監督作品は初めて。当初「かぐや」「風立ちぬ」は夏に同時公開予定だったので、両方の音楽を久石さんが担当するのは物理的に無理でした。しかし「かぐや」の公開が秋にずれたため、ケガの功名と言いましょうか、久石さんが両作品を担当することが可能になりました。久石さんの登板は高畑監督の希望であり、久石さんは期待に応えて、素晴らしい音楽を生み出しています。主題歌は二階堂和美さんの「いのちの記憶」。二階堂さんの起用を希望したのも高畑監督ですが、高畑監督はこの歌のおかげで、この作品が3.11以後に公開するのに相応しい、人間と地球の連帯を表す映画になると確信したそうです。
高畑監督が「竹取物語」の企画を最初に考えてから五十数年。ジブリでの映画化企画が始まってからも約8年が経過しましたが、高畑監督自ら「今日のひとつの到達点を示している」と述べる作品が、今ここに誕生しました。本作は誰も知ることのなかったかぐや姫の「心」を描くことで、"人間・かぐや姫"の真実を描き出し、今を生きる私達に大いなる感動を呼び起こします。どうかご期待下さい。