「野中くん発 ジブリだより」 3月号
2013.03.10先月お伝えしましたように、「かぐや姫の物語」の公開が本年秋に延期になりました。絵コンテを中心とする制作の遅れがあり、進行状況等を総合的に判断した結果、配給元の東宝より2月5日(火)にその旨が発表されたものです。夏公開を期待していた方々にお詫び申し上げます。
高畑勲監督の「かぐや姫の物語」は、『竹取物語』を今までにない新しい映像表現で、2時間を超える長編アニメーション映画にしよう、しかもエンターテインメントとしてそれを作ろうという、とても野心的な作品です。映画というものが本来そうであったように、観る人に新鮮な驚きを与える映画にしようと挑戦していると言えるでしょう。そのために、予期した以上の膨大な手間暇がかかっています。しかし、質は落とせません。その結果、やむを得ず公開延期に至りました。現在、東小金井駅の南方にある第7スタジオでは、秋公開という新たな目標に向けて必死の努力を続けています。なお、宮崎駿監督の「風立ちぬ」は、予定通り本年夏公開予定で、第1スタジオを中心に現在追い込みの真っ最中。このように、今年は夏と秋にジブリ作品を2本、連続で公開することになりました。改めまして、両作品ともどうか宜しくお願い申し上げます。
さて、映画制作以外の話題をいくつかご紹介します。
まず、三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーですが、「夜のとばりの物語」の続編として、「夜のとばりの物語 │醒めない夢│」がブルーレイとDVDで4月17日(水)にウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンから発売されます。昨年日本で劇場公開されたミッシェル・オスロ監督の「夜のとばりの物語」はお陰様で大好評でしたが、元々この作品は、テレビ用に作った連続短編シリーズを、新作を加えつつ監督自らが再構成して1本の映画にしたもの。で、その際に使用されなかったエピソードが5話残っていました。そこで日本オリジナル企画として、その5話を組み合わせ、今年1月に劇場公開されたのが「夜のとばりの物語―醒めない夢―」です。未使用エピソードと言っても、その面白さはもしかしたら1作目を上回るかもと評判のこの1作、どうか宜しくお願いいたします。
最後になりましたが、「スタジオジブリ・レイアウト展」が現在、沖縄県立博物館・美術館で開催中。沖縄でのこうした巡回展は初です。会期は5月6日(月)まで。こちらもどうぞ宜しく。