「野中くん発 ジブリだより」1月号

皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

 さて、スタジオジブリではいつも年末に、割ときちんとお正月に向けて準備をします。最終日は1日がかりで大掃除をし、その後に納会(又は忘年会)を行います。その際、第1スタジオの玄関にはちゃんと門松を立てますし、社内の各所にお正月用の飾りつけを施し、鏡餅ももちろん供えます。例年、年末年始の休暇は12月30日から1月4日までと決まっており、5日の初出社の日に門松の飾られた玄関を入ると、ちょっと気持ちが改まる気がします。年賀状も会社で毎年作っており、宮崎駿監督がその年の干支にちなんだ絵を描き下ろします。今年は龍の絵柄で2種類。また、鏡開きでぜんざいを作るのも定例です。あまり普通の会社っぽくないスタジオジブリですが、社員旅行とか入社式をまめに行っているのと同様に、年末年始のふるまいもこのように結構オーソドックスなところがあります。ジブリ美術館も最終日に大掃除と忘年会を実施して、門松や鏡餅などを飾るのは同じです(休みの期間はスタジオとずれていて、少し早く始まり1月3日から営業開始)。美術館の忘年会は毎年、自分たちで用意する出し物の凝り方がすごく、歌や踊り、特製ビデオの上映と内容も多彩。スタッフ全員が1年の最後にまた一丸となって会を盛り上げ、互いを慰労しつつ新しい年に向けて気持ちを切り替えます。誠に残念ながら、今回は山﨑文雄さんのいない忘年会となりましたが、それでもきっと盛り上がったことと思います。

 さて、スタジオジブリにとって去年は何と言っても「コクリコ坂から」完成と公開の年でした。お陰様で沢山のお客さんに観ていただき、2011年の邦画No.1となることが出来ました。改めまして御礼申し上げます。今年は恐らくひたすら次回作を作り続ける年になりそうで、複数の作品を現在制作中ですが、詳細を発表出来るのはもう少し先になりそうです。ただ、昨年末には高畑勲監督作品の監督助手と制作進行を募集し、400人を超える応募がありました。

 最後になりましたが、ジブリの海外部門の責任者スティーブン・アルパートさんが、昨年一杯で退職しました。徳間インターナショナルの頃から15年の長きに亘り、ジブリの海外展開を進めてきた立役者です。宮崎駿監督の代理でオスカー像を受け取ってきたのもアルパートさんでした。本当にお世話になりました。