「野中くん発 ジブリだより」12月号

 11月22日(火)、スタジオジブリでは防災訓練を行いました。今年は東日本大震災の後ということもあり、「本当に起きたらどう行動するべきか」ということを今までになく意識して訓練を行ったと思います。

 まず、あらかじめ各部署から選ばれたこの年の担当スタッフが、朝から簡易トイレの設置と炊き出しを実施。阪神・淡路大震災のときに「関東にもいつか必ず地震は来る、会社としてもそのための備えが必要だ」という宮崎駿監督の考えに基づいて準備した設備をその後毎年、防災訓練のたびに組み立てています。簡易トイレは自転車置き場がトイレに早変わりというもので、屎尿を地下のタンクに溜められるようになっています。炊き出しには組み立て式の釜を使用。薪をくべて燃やすシンプルな作りですが、第1スタジオ正面の、普段駐車場として使っているスペースで、この釜を使って今年もカレーをスタッフが大量に作りました。

 そして12時半、スタジオの各所で防災委員がその場のスタッフに呼び掛け、避難訓練の開始です。宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーらを含む全スタッフが仕事を一旦中断して、第1スタジオ斜め向かいのくぬぎ公園に避難しました。以前より建物も人数も増えているジブリですが、それほど時間もかからず避難は完了、各防災委員が自分の部署の点呼をし、それを隊長の星野康二社長に集約して避難訓練は終わりました。

 続いて13時からは、起震車による地震の疑似体験と、炊き出しのカレーによる昼食が同時進行。前にも起震車に来てもらったことがありましたが、今回は新型ということで、以前の物より少し大きく、震度7だけでなく、関東大震災などの過去の大地震のいろんな揺れのパターンが体験出来るという機能も備わっていました。消防署のご協力で今回も来ていただいたのですが、ちょっと大きすぎて、スタジオの前での実施は困難ということになり、急遽、第5スタジオ向かいの武蔵野運送の敷地をお借りしてそこで行いました。4人1組で順番に体験しましたが、やはり東日本大震災があったためか希望者はかなり多め。私も体験しましたが、震度7の揺れは本当に強烈で「ああこれは絶対立っていられない」と思いました。

 最後にカレーを美味しくいただいて今回の防災訓練は終了となりましたが、訓練のときだけでなく、普段から万一の事態に対する備えをしておくべきだなあと改めて思った次第です。