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監督多忙につき、ただいま番外編!
2006年4月14日
第七十回 監督は黙って……
今日は朝から、東京テレビセンターというところで、予告篇に音をつける作業をしました。といっても、もちろん私が作業をするわけではなく、高木さんというその道のプロにやっていただいたのですが。
私がやるここといえば、作業する素材がそろっているかどうかのチェックや、誰が何時にスタジオに入るのかといった段取り、完成したデータやフィルムの関係者への受け渡し、あとは昼飯のそばの出前をとることくらいです(誤解のないように書きますが、これを書いているのは監督ではなく代打の岸本です。決して吾朗監督が昼間からそばの出前を取っているわけではありません)。
作業してもらっている時間を利用して、ジブリから一緒に来てもらっている古城という者から、様々なレクチャーを受けます。彼はポストプロダクション部に属し、映像や音響に関してとても詳しいのですが、毒舌なのが玉に瑕で、少年のように目をキラキラさせて私をイジります。純粋なのか、ひねくれているのか……
作業を終えて7時ごろ会社に戻り仕事をしていると、9時半頃、フラリと吾朗監督が現れました。なにやら、険しい顔をしています。私の机の上のプリングルズには見向きもしません。ただでさえ濃い顔なのに、眉間にしわを寄せ、まるで般若のような顔をして煙草を吹かしています。私はこういうとき、気になっても自分からは事情を聞かないようにしています。たいていの場合、こちらから安易に水を向ければ、愚痴を言うきっかけを作ることになってしまうからです。吾朗監督は多くを語らず立ち去りました。監督は黙ってマイルドセブン、なのでした。