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2006年6月29日
第百十一回 初号試写を終えて
昨日、五反田のイマジカで初号試写がありました。
自分としては、あとは完成したものを観るだけだと、
高をくくっていたのですが、
朝は5時過ぎに目が覚め、実は緊張していることに、
遅ればせながら気がついたのでした。
おまけに、
初号には来ないと聞いていた宮崎駿監督が
急に観にくるということになったのです。
集まった関係者140人余りで埋まった
試写会場の席に座った瞬間から、
異常な緊張状態に陥ってしまい、
正直、何を観たのか覚えていない状態になってしまいました。
そんな状態だったので、試写が終わって拍手を頂き、
多くの方々からねぎらいの言葉も頂いたのですが、
それに上手に応えることが出来ませんでした。
両手に力が入らないような有様で、
まさか、こんなことになるとは思いもよりせんでした。
今すべてが終わってみると、誤解を恐れずにいうならば、
いったい自分は何を作ったんだろう?と思わざるえません。
加えて、今初めてある種の恐怖を感じています。
この映画「ゲド戦記」を自分の中で総括ができるのは、
ずっとずっと先になりそうです。
ただ、ここまで来れたのは、
本当にたくさんの人たちのおかげなのだと
感謝する気持ちはどんどん大きくなっていきます。
一人ひとりの力が寄り集まって一つの作品に結晶していくことは、
本当にすばらしいことだと思います。
私は確かに監督という役割を務めましたが、
それは映画「ゲド戦記」を作る上でのひとつの役割にすぎません。
作ったのは、社内社外を問わずスタッフみんなであり、
私はその中のひとりにすぎません。
あらためて、そのことを皆さんにお伝えしたいです。
あと、昨日の日誌で今後の取材について
いろいろと書きましたが、
私の立場でそれを云々するのは、やはり
少し出過ぎたことであったと反省しています。
試写を翌日に控えて、
少しナーバスな書き方になってしまいました。
いまは、
自分は取材をしていただく身なのだから、
質問には出来うる限り誠実に応え、
それによって、少しでも多くの方に
「ゲド戦記」について興味を持っていただく、
それが今、映画「ゲド戦記」にとって自分が出来る
精一杯なことだと思っています。