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2006年5月26日

第九十五回 天才バグパイプ奏者の参加

今回、「ゲド戦記」をつくるにあたって、
本当に、様々な幸運に恵まれています。
その一つがカルロス・ヌニェスさんとの出会いです。

劇伴音楽にバグパイプが使われるのですが、
そもそも日本には、
あまり多くのバグパイプ奏者がいません。
ある人のツテで、今度、
天才と呼ばれるバグパイプ奏者が来日すると聞き、
さっそくお願いをしたところ、
快く引き受けてくれたのがカルロスさんだったのです。

彼はスペイン、ガリシア地方の出身です。
バグパイプというと、なんとなくアイリッシュな感じがしますが、
ガリシア地方はケルト文化の残る地方で、
ガイタと呼ばれるバグパイプが演奏されてるのです。

先日、コンサートの合間にテスト録音が行われたのですが、
彼の奏でる音色を聴いた瞬間、
その場にいた全員が、驚きのあまり絶句してしまいました。
それほどに表情豊かで、美しく、魅力的な音色だったのです。

バグパイプのほかにも、
ホイッスル、リコーダー、オカリナも演奏してくださり、
それはそれは素晴らしいものでした。
私が持っていたリコーダーやオカリナに対する
イメージは180度変わってしまいました。

彼に、今回引き受けてくれた理由を聞くと、
寺嶋民哉さんの曲が、
ケルトやガリシアの雰囲気を持ちながら、
同時に日本的でもあるという、
魅力を感じたからだと答えてくれました。

実は彼は、本国スペインでは
コンサートに何万人も集める人気アーティストで、
世界中で引っ張りだこだというのは、後で知ったことです。
そんな方にお願いできたことは、本当に幸運でした。
彼のパイプによって、
音楽に更なる魅力が加わったのです。