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2006年5月22日
第九十一回 監督宣伝
主題歌・挿入歌を歌っていただいている
手嶌葵さんとの出会いは、
作品そのものの方向性に影響を与えるほどで、
とても幸運であったということは以前にも書きました。
その恩返しのためにと、鈴木プロデューサーが考えたのが
葵さんのデビューアルバムに協力するというものでした。
具体的にはゲド戦記をモチーフに曲をつくり、
葵さんに歌ってもらうというアイデアです。
「ということになったから、ゴロウ君、歌詞書いてね。
曲は谷山浩子さんに頼むから」と
いつもの調子で指令があり、
私が全曲歌詞を書くことになってしまいました。
それがちょうど昨年末のことで、
私の正月休みの宿題になったのです。
結局、全部の宿題が終わったのは、
2月に入ってからでしたが。
映画の本編で使わない歌の歌詞ということで、
出来上がった詞は、原作のイメージを直接書いたものから、
間接的にイメージを膨らませたものまで様々です。
ただ、いずれも谷山さんが言うところの
「無骨でストレート」なものばかりなので、
こんな素人っぽいものでなんとかなるものか?
と心配しておりました。
ところが、谷山さんがつけてくださった曲は、そのどれもが、
私のイメージをきちんと酌んでくださったうえに、
新しい魅力を持つものでした。
そして、4月に入ってから、
葵さんのレコーディングが始まりました。
レコーディングが終わった曲の仮MIXは
いつも翌日には送られてくるのですが、
その出来栄えは口では上手く言えません。
映画の音関係を一手に引き受ける
ポストプロダクション班(通称ポスプロ)の長で、
ふだんはクールな稲城さんや
元は音楽業界にいた制作部部長の渡辺さんが興奮気味、
と言えば、わかっていただけるでしょうか。
とにかく、良いのです。
ときには、不覚にも涙が出そうなるのをこらえています。
私が言うのも変かもしれませんが、
葵さん、谷山さんをはじめ、
レコーディングに関係している人たちに感謝です。
この手嶌葵さんのアルバムのタイトルは
「ゲド戦記歌集」
7月12日発売の予定です。
私も完成が待ち遠しいです。