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2006年5月 9日
第八十五回 撮影部、奥井さんのチラッ
ラッシュチェックの前には、
必ず撮影監督の奥井さんのモニターで、
最終的な画面をチェックします。
以前、制作日誌にも出ていたと思いますが、
作業中の奥井さんは、モニターに光が映りこまないように
よく獅子舞状態で暗幕を頭からかぶっています。
それを見るたびに、モニターを赤く塗って、
目を描き込みたくなる衝動にかられます。
それはさておき・・・、
仕上げ部で色のつけられたキャラクターと
美術部で描かれた背景は
撮影部で合成され、
奥井さんが最終的に処理や調整を加えて、
完成画面になっていきます。
つまり、絵作りの最終的な出口が奥井さんなのです。
最後の砦という意味ではディフェンスであり、
最後の出口という意味ではフォワードのであり、
画面作りの指示をするという意味では、
ミッドフィルダーでもあります。
奥井さんは、あまり多くを語らない人です。
しかし、毎朝9時には出社し、仕事は速くて手堅い、
誰からも信頼されている人です。
その奥井さんはモニターチェック時に、
必ず眼鏡越しに私の顔をチラッと見ます。
その無言のチラッの意味が
最初のうちは良くわからなかったのですが、チラッの中にも、
「これで良いでしょ」のチラッと、
「これで良いの?」のチラッがあることが徐々にわかってきました。
最近ではずいぶん具体的に口で言ってくれるようになったので、
チラッの意味を推察する必要もなくなりましたが・・・。