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2006年3月13日

第五十二回 この絵柄でいくと、腹をくくる

イメージボードを描く際、
最初から、絵柄を宮崎駿的なものにしようとは
思っていませんでした。
まず、あったのは、
シンプルで力強いものにしようということ。

しかし、実際にイメージボードを描きはじめてみて、
私の描くものは、すべて宮崎駿的なものになる、
ということに気づきました。
変えようと思っても、どうしてもどこか似てしまう。
絵柄を選択する、しないという以前に、
自然とそうなってしまうのです。

幼い頃から、接することのほとんどない父が、
いったいどんな人で、何を考えているのかを見いだすために、
ひたすら彼の作品を見続けてきた、
ということは前に書きました。

これまで、
たくさんのアニメーションを、映画を見てきましたが、
それらは通り過ぎてきたものであって、
今でも自分の中に残っているものは、
宮崎駿が作ってきた作品だけです。
その結果が、
イメージボードを描くときに出てしまったのです。

アニメーション映画の監督を務めるにあたって、
自分が持っているものは、すべて父の作品から得たものです。
だから、何かを手本にするならば、
それは宮崎駿の作品しかないということに、
そのとき気づきました。

そして同時に、
「この作品は宮崎駿的な絵でいく」
と腹をくくったのです。