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2006年3月10日
第五十一回 「宮崎さんの絵とそっくりですね」
プロットの作成と並行して、
私は、考えてきたシーンや集めてきた関連資料など、
それまで積み重ねてきたさまざまな材料を総動員して、
イメージボードを描いていました。
イメージボードとは、
スタッフなどに作品のイメージを絵で伝えるためのもので、
描いたものを準備室の壁一面に貼り付けていきました。
そして、鉛筆と水彩絵の具で描かれたそれを見た人は、
口をそろえてこう言いました。
「宮崎(駿)さん、そっくりですね」
これを聞いても、
特に恥ずかしく思ったり、腹が立ったりはしませんでした。
むしろ、「あんなふうに、うまく描けていないのに」と、
面映ゆく感じました。
なぜなら、
以前、「父としては0点」と書きましたが、
私は、監督・宮崎駿を心から尊敬していたからです。
そして、これは実際に描いてみるまで意識していなかったのですが、
うまい下手は別にして、
私は宮崎駿的な絵しか描くことができなかったのです。