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2006年2月 2日

第二十九回 KKD

作画にしろ、色の指定にしろ、
毎日、現場でその道のプロとやり取りをしていて思うのは、

本を読んで勉強してもしょうがない。
それよりも、見逃さず、聞き逃さず、
技術を勉強するんじゃなくて、盗めということ。

勉強した知識なんて、
実際に、その場その場の判断を求められたときには、
ぜんぜん役に立たない。

前に勤めていた設計事務所で、主に下水道の設備を専門にしていた
大ベテランの技術者のオヤジさんの口癖は、
「土木はKKDだ!」でした。
K=経験、K=勘、D=度胸です。

現場は常に複雑です。

たとえば、ある道路のU字溝を設計するとします。
水を流すだけなら、20センチの幅があればよいのですが、
このあたりは泥がたまりやすい。
だから、スコップの入る30センチまで広げてつくっておいたほうが、
コストはかかるけれど、後々のメンテナンスを考えると効率的である、
といった具合です。

知識だけでは、臨機応変に状況に対応できません。
ある具体的状況に直面したとき、
解決にいたるいくつもの道筋を想像するには経験が必要で、
では、どの解決策を選べばいいかと勘を働かせ、
そして最後、決断するのは度胸しかない、ということです。