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2006年1月 6日

第十三回 雲間からの光

映画の舞台は、アースシーという多島海世界。
本来、人間しか住まない東の海に
突如、竜が現れるところから、この物語は始まります。

昨日は、
百瀬さん、撮影部の奥井さん、美術部の武重さんと
この、低い雲の垂れ込める海の上を行く帆船が、
竜を目撃するシーンのレイアウトをどうするかについて話し合いました。

最初、船の後方に雲間から光の筋が差し込んでいて、
その光の中に竜らしき影が見えます。
そして中盤、その光とともに竜は帆船の頭上に迫り、
後半では、船の前方に光の筋が落ちています。

ということは、雲は、風を受けて進む帆船よりも早く流れ、
途中で帆船を追い越していくことになります。
そうすると、たとえば、その途中にある俯瞰のカットでは、
船から見て海面のどの位置に光が落ちているのかなども
ある程度決まってきます。

しかし、単純に理屈どおりに描けばいいというものではありません。
なによりもそれが、「絵」としてもよくなければいけないからです。
帆に風をはらんで進んでくる船の背後から、
雲間から降る光と竜が迫るとき、
雲、光、竜、帆船はどのように配置されていればよいのか。
そしてそれが、つじつまが合いつつ、
絵としてもドラマチックな状態で進んでいくには、どうしたらいいのか。

厳密につじつまだけを追求してしまうと、
肝心かなめのドラマチックさが失われ、
逆に絵のよさばかりを追求して、つじつまをまったく無視してしまうと、
リアリティが失われてしまいます。
目指すは、つじつまが合っていながらも、絵として素晴らしいものです。

この打ち合わせでは、3人が出してくれた知恵によって、
無事、全体の方向性が決まりました。
あとは、実際に背景を描く美術部の武重さんの手にゆだねられました。

武重さん、よろしくお願いします!