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2005年12月29日
第十一回 今年最後のラッシュチェック
いよいよ年の瀬です。
『ゲド戦記』の制作も、
今年9月に作画インして、約4ヶ月がすぎました。
いまのところ、とても順調に進んでいます。
昨日、3回目のラッシュがあり、
だいたい100カット分が完成しました。
ここでいうラッシュとは、できたばかりのまだ音の入っていない映像を、
カットごとに試写室で上映することですが、
このラッシュで、われわれは、
はじめて色がついて動いているのを見ることができます。
私がいまやっている主な仕事は、映画全体の方向性を決めることと、
原画マンの描いたレイアウト(実写のカメラワークに当たります)のチェック、
そして自分が担当したカットのレイアウトを描くことです。
方向性というのは、
すでに絵コンテが完成しているのでストーリーに関してではなくて、
画面の雰囲気、つまり映画の視覚的な雰囲気についてです。
最近のアニメでは、
キャラクターをかなりこまかく描き込んで表現することが多いようですが、
『ゲド戦記』のキャラクターは、こまかくリアルに表現するのではなく、
シンプルで力強いものにします。
たとえば、ハイジやコナンのような素朴なスタイルを想像してください。
キャラクターの色指定は、背景の色に左右されるのですが、
一回目のラッシュでは、背景の色にキャラクターの色が引っ張られて、
全体的に少しぼんやりとして、
シンプルなキャラクターの持っている力強さがうまく出ていませんでした。
その後、色彩設計の保田道代さんのアドバイスもあって、
昨日の3回目のラッシュでは、
キャラクターと背景、それぞれがしっかりした色を持っていながらも、
全体として落ち着いている
そんな雰囲気の画面を作ることができました。
ついに、思っていた方向に進み始めた
そんな感じがしました。
とりあえず、気持ちよく年を越すことができそうです。