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「ゲド戦記」制作日誌
2006年6月19日
いざ、ファイナル!
おはようございます。
東京・東小金井は、昨日の大雨から一転、暖かな日射しが降り注いでいます。
先週の土曜日は、「ゲド戦記」ダビング作業の、プリミックス最終チェックが行われました。
──と、これだけでは何のことだか解りませんよね(笑)
今日は、映画の音響作業についての解説から始めましょう。
以前にも書きましたが、映画は映像だけでは成立しません。完成した映像の上に、「音」という新たな息吹が吹き込まれて初めて、映画に世界が生まれるのです。
映像に音をつけてゆく作業の事を、ダビング(DB)と呼びます。
『火曜日の、ダビング作業の様子』
監督日誌でゴロウ監督が、「宇宙戦艦のよう」と記した様に、実際の劇場と同じく防音されたスタジオで、前方に見えるスクリーンに映像を投影して、音をつけてゆきます。
それでは、映画にはどのような音響が必要なのか?
ポイントは、3つです。
1.台詞
2.効果音
3.音楽
実写と違い、全てを一から描かなければならないアニメーションは当然、完成した映像は「無音」の状態です。キャラクターに声を吹き込み、画面を構成する全てのモノの発する音(効果音)をつけ、主人公の感情に寄り添い、時には壮大なシーンを盛り上げる、音楽があって初めて、「映画」たり得るのです。
「ゲド戦記」では、音楽家の寺嶋民哉さん、効果(音)の笠松広司さんの創り出した音を、整音の高木創さんが、とりまとめています。
実際の作業は実に複雑で多岐に渡るのですが、以下の写真をご覧下さい。
いくつものボタンが配置されているのがお解りになると思います。
このボタン一つ一つに、台詞や効果音、音楽といった、様々な音が割り当てられていて、高木さんが、ゴロウ監督と相談しながら、それぞれのボリュームやバランスを調整しながら、音を作り込んでゆくのです。
これまで音響スタッフは、「プリミックス」という、音の仕込み作業を続けていました。
土曜日に行われた最終チェックは、ゴロウ監督、鈴木プロデューサーと音響スタッフが、音のついた映像を全体を通して観て、「これで行こう!」という確認をする為に行われたのでした。
ここで多くを語る事は止めておきますが……僕は、何度鳥肌が立ったかわかりません!
そして今日からは、音を最終的に確定する作業「ファイナルミックス」が始まります……!