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「ゲド戦記」制作日誌
2006年5月22日
「ゲド戦記」仕上作業・終了!
本日、「ゲド戦記」の仕上作業が全て終了しました!
仕上とは、アニメーターが描いたキャラクターに、ひとつひとつ色を塗ってゆく作業。予告編をご覧になって見てください。
映画に登場するキャラクターや動物、風に揺れる木々から流れ落ちる水に至るまで、背景とは別に動きのあるモノは全て、色が塗られていますよね。
良く見ると、カットごとに、肌や髪の色まで全て違い、同じ場所でも、影や光の当たり方によって、様々な色が塗られている事がお解りになると思います。
これらは色彩設計の保田さんと、色指定のスタッフが1カット1カット、塗る色を指定し、仕上部のスタッフが、1枚1枚、コンピューター上で着彩しているのです。
カット数にして、1236カット。
枚数にして、76000枚以上。
着彩だけではなく、紙の上に描かれた線画を、スキャナーで1枚1枚スキャンするスタッフや、細かな汚れを全て取り除くスタッフなど、仕上部の仕事は、実に多岐にわたります。
朝から晩まで、休憩の時間をのぞいては、ずっとコンピューターに向かい続けていた仕上部の皆さん。
本当に、お疲れ様でした!
今日も、ゴロウ監督は、アフレコ作業で、コントロールルームと試写室にこもっています。
音響監督の若林さんと、東京テレビセンターの整音技師・高木さん以下、音響スタッフは、休日返上、深夜遅くまで、ジブリのスタッフが描いた絵に、「音」という息を吹き込んでくださっています。
先週土曜日、アフレコ中の出来事。
午後から、突然の土砂降りとなりました。
『撮影 広報部・西岡さん』
──と、整音助手の、岩名さんが、ソワソワ。
どうしたんだろう? と観察していると、岩名さん、こうつぶやきました。
岩名さん「洗濯物が……」
ん?
と──ジブリ・ポストプロダクション班の古城さんが叫びます!
古城さん「(アフレコ用の)REC(録音)ボタンは僕が押しておきますから、行ってきてください!」
は?
岩名さんの自宅は、確かジブリから、電車でかなり遠くにあるハズ。
今から行って間に合うの? というか、アフレコはどうするの?
僕らの ??? をよそに、岩名さんはコントロールルームを飛び出してゆきました。
あっけにとられる僕らを前に、古城さんがひと言。
古城「台詞合わせの為に、前のアパートに泊まってもらっているんですよ」
ナルホド。
アフレコは、収録するだけで終わりではありません。
キャラクターの口の動きに合わせて、岩名さんが、ひと声ひと声、絵と声を合わせてゆくのですが、連日アフレコが続くため、調整するのは、作業が終わった深夜しかないのです。
岩名さんはずっと、ジブリの前に借りているアパートに、泊まり込んで下さっていたのでした。
あとで岩名さんに聞いたところ、洗濯物は無事だったそうです(笑)