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「ゲド戦記」制作日誌
2006年5月10日
ダ・ヴィンチ・コードの朝
おはようございます。
深夜作業の続いた背景作業が終わり、僕は朝型シフトになりました。
今日の東京・東小金井は、肌に心地よい霧雨。まだ人気のない、ヒンヤリとした現場もナカナカ、良いモノです。
昨日で、原画は終了。作監が、残り1カットとなりました。
動画も残り50カットを切り、作画作業は今週一杯で終了予定。週末から来週にかけては、動画チェックの舘野さん、中込さんらが、上がった動画を集中的にチェック。仕上・CG・撮影以降が、一気に後半の追い込みにかかります。
今朝は、朝ならではの話題をひとつ。
「ゲド戦記」作画演出の山下さんと作画監督の稲村さんは、作業が一段落する先週まで、日付越えはおろか、深夜、2時、3時まで、食事の時間をのぞいて丸一日、ズーッと机に向かっていました。
ふたりのスゴイところは、そんなに遅くまで働いても、定時の10:30にはちゃんと出社していること。
当然、疲れがたまってくると、特に午前中はつらい時間が続きます。
ゴロウ監督の報告によると、山下さんは出社すると、すぐに昨夜の作業を机に広げ、猛然と描き始めるのですが、たまに猛烈な睡魔に襲われ、眠ったまま作画をしている事がある……と言うのです。
月曜日、作画演出の山下さんが、手持ち作業を終え、机を整理していると、こんなラフ画が出てきました。
むむ……?
これ、山下さんが眠りながらも描き続けた、「ゲド戦記」のヒロイン・テルーのラフ画なのです!
よ~く、観察してみましょう。
こちらから見て顔の左半分は、輪郭を作り、眉と目のあたりをつけた痕跡がうかがわれます。
おそらく山下さんは、頭の輪郭を作り、前髪を左から描き始めてから猛烈な睡魔に襲われ、顔の右半分の前髪を描き始めた時、完全に、「もうひとつの世界」へ行ってしまったものと思われます。
ちなみに、絵の右に記されている記号は、原画番号の「A52」を表している……。
まるで、「ダ・ヴィンチ・コード」の図像解釈学のようですナ(笑)
ジブリのダ・ヴィンチ山下さんは、テルーの微笑みに、何を仕組んだのか。
この秘密は、本日誌をもって永久に封印させて頂きます。
なんのこっちゃ(笑)