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「ゲド戦記」制作日誌
2006年5月 9日
アフレコ快調!
先月末から今月にかけて。
「ゲド戦記」のアフレコ作業が行われています。
「アフレコ」という言葉は、テレビや雑誌等でも、よく登場しますのでご存じの方も多いかと思います。
アフレコ = After-Recording (アフター・レコーディング)の略
ひと言で言うと、完成した映像に合わせて、役者の方が声(台詞)を吹き込む作業の事を言います。アニメーションは当然「描いた絵」ですから、声は人が吹き込まなければなりません。
洋画の日本語吹き替えで、日本人の役者が声を吹き込む事を、「当て(アテ)る」、と言う事から、「アテレコ」と呼ぶ事もあります。
皆さんが、テレビで「○○ロードショー」や「○○洋画劇場」をご覧になるとき、登場人物は日本語を喋っていますよね。これらもアニメーションと同様、役者の方が「アフレコ」しているのです。
ちなみに、ディズニーやピクサー等、欧米のアニメーションの多くは、絵よりも先に声を録音します。
この作業は、「プレスコ」と言います。
プレスコ = Pre-Scoring(プレ・スコアリング)の略
ジブリ作品の中でも、高畑勲監督作品「おもひでぽろぽろ」の現代編は、プレスコで作られています。
さて。
「ゲド戦記」のアフレコは、快調に進んでいます。
ジブリの映画は、第2スタジオ地下の試写室にマイクを立てて映像を映し出し、役者の方に声をあてて頂いています。それを、1階のコントロールルームで、監督・プロデューサー・音響スタッフがチェックし、作業を進めるのです。勿論、ゴロウ監督は、演技指示の為に、階段を行ったりきたり。
『試写室の様子・マイクスタンドが立てられています』
『コントロールルームの様子』
詳細は、キャストの皆さんにご迷惑がかかってしまいますので、この場に記すのは控えますが、監督日誌でゴロウ監督が興奮気味に語っていたように、スタッフ一人一人が描いた絵に、声だけではなく、その息吹までが吹き込まれたかのよう。
現場では、あまり感情をあらわにしないゴロウ監督も、アフレコの時は目つきが違います。
絵コンテに込めたキャラクターへの想いを、一つ一つ反芻するかのように、役者さんの声に耳をすまし、快心の演技に感嘆したり、どうしても納得のいかない箇所は、徹底的にこだわったり。
たまに、主人公のアレンやヒロインのテルーが、ゴロウ監督に乗り移っているような瞬間があります。
アニメーションの現場は、机に向かって黙々と作業をする時間が圧倒的に長いため、アフレコは、監督の、キャラクターに対する想いが垣間見える、貴重な瞬間なのです。
アフレコ作業は、今月一杯続きます。
既に鈴木プロデューサーは、第3弾の予告編の制作に入っているようですから、公開前に、キャラクターたちの声を、予告編を通してお届けできる……かもしれません。
『現場で使われている録音(アフレコ)台本』