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「ゲド戦記」制作日誌
2006年5月 3日
このシーンはゆずれない!
暑くなったり、寒くなったり。
地球規模の異常気象に、ナニかの前触れを感じずにはいられない、今日この頃。
東京・東小金井は、柔らかな日射しが降り注ぐ晴天です。
昨日、一昨日と、長期にわたって、重要なシーンの原画をお願いしていた外注アニメーターのおふたりが、全てのカットを終了。制作部伊藤くんが、最後のカットを頂いてきました。
この間、制作日誌では、限られたスケジュールの中で、目覚ましいカット数を上げ続ける現場の様子をお伝えしていますが、量(スピード)と共に、質(クオリティ)に関しても、「ゲド戦記」は一切の妥協をしていません。
ローソンのHPに掲載されているゴロウ監督のインタビューで、「緻密になるのではなく、シンプルで力強い作品を目指した」──と、監督とスタッフが目指した、映画の画面に対する想いが語られています。
シンプルで力強い画面を目指すという事は、ごまかしがきかず、キャラクターの動きの良し悪しが、そのままお客さんの前にさらされてしまう、ということ。
冒頭で紹介した、おふたりにお願いしたのは、すでに予告編でも登場している竜と、大迫力のクライマックス(まだ内容は言えません!)シーン。
実写映画で、「このシーンに時間をかけないと映画全体が締まらない」とか「このセットにお金をかけないと、映画が終わらない」というシーンが存在する様に、アニメーションにおいても、「この人にお願いすれば、間違いなく映画の質が上がる」という場面がいくつか存在します。
おふたりは、他の作品にメインスタッフとして関わりながらも、素晴らしい原画を上げて下さいました。
この場を借りて。
本当にありがとうございました!
これで原画はついに、残り1カットとなりました。
原画に加え、美術も大詰めを迎えつつあります。
この間、日誌で何度か登場している男鹿和雄さんが、昨日、最後の1カットを終え、全ての作業を終了。
男鹿さんの担当カット数は、なんと178カット!
美術監督の武重さんとふたりで、男鹿大明神のあらせられる八王子の方角に、深々と頭を垂れた次第です。
残るは、武重さん自らが描く、ラスト6カット……です!
『最後のシーンと向き合う、武重さん』