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「ゲド戦記」制作日誌
2006年4月27日
アニメーション制作は高尾登山に似たり
昨夕。
ジブリ1階のバーで、作画監督(演出)の山下さん、制作部伊藤くんと、一服しながら、しばしの雑談となりました。
作監は、残り42カット。
この間、原画と作監をずっと見守り、サポートしてきた伊藤くんが、ひと言。
伊藤くん「あと少しですねェ」
山下さん、紫煙をくゆらせながら、こうつぶやきました。
山下さん「一昨年、みんなで高尾山にハイキングにいったでしょ……」
高尾山???
その、あまりに唐突な切り出しに、戸惑う僕たち。
ご存じない方々の為に解説しておくと、高尾山とは、東京都西部にある標高600メートル程の山で、一昨年、スタッフ全員で、ハイキングへ出かけたのでした。
山下さん「頂上の近くまでは、元気に登れたんだけどねェ……」
思わず乗り出す僕たち。
山下さん「頂上の前の石段からが、長いんだよ……」
高尾山を登ったことのある方なら、お解りになるハズ。
頂上手前にあるトイレから山頂へ続く石段が、結構きついのです。(ローカルネタでごめんなさい)
山下さん「今、その石段を一歩一歩登っている……って感じかなァ」
その、あまりに具体的且つ、実感のこもったお言葉に、一同絶句。
振り返ると、残り29カットとなった美術監督の武重さんが、コーヒー片手に大きくうなずいておりましたとサ。
『カット山に埋もれる山下さん』