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「ゲド戦記」制作日誌
2006年2月 7日
北の海はよう……
こんばんは。
昨晩積もった雪は、すっかり溶けて無くなってしまいました。
そのせいか、怪人は現れず。
せっかく今日こそ、話しかけようと思っていたのに……。
今日も現場は大忙しです。
14:00と17:00から、作画打ち合わせ。その間に、色指定のチェックや背景チェックと、ゴロウ監督以下、スタジオ中をかけずり回っています。
夕方からは、監督と作画監督の山下さんが原画のQARチェック。今日はとても良い上がりがあった様子で、ふたりともご満悦でした。
19:00頃の、背景美術部での出来事。
美術監督の武重さんが手を入れている海の背景を見ながら、ゴロウ監督がつぶやきました。
監督「ちょっと、南過ぎるかもしれないなァ」
アニメーションの現場ではよく、南北で気候や空気感、土地の風土を表現します。
北の海と言えば、色味の少ない、深塗りの海になりますが、南の海で言えば、青色と緑色の、薄塗りの海が欲しい、といった具合。海だけではなく、空や土の色に至るまで、季節や地方によって、その色彩は様々です。
ちなみに高畑勲監督はかつて、背景美術監督の出身地によって、物語の舞台を変更した事があったそうです。
腕を組んで、出来上がりつつある背景を眺めていた武重さんがひと言。
武重「たまには、北の海にも遊びに行った方が良いかなァ」
成る程。
武重さんは、無類の南国好き。長編作品が一本終わると、必ず南の国へと旅立つのです。確か「千と千尋の神隠し」が終わったときの事だったと思いますが、船で伊豆大島へと渡り、真っ黒になって帰ってきたのでした。ちなみにゴロウ監督は、山派です。
武重「じゃあ石井くん! 今週末あたり、東北でも旅するか!」
………。
という訳で、今週末、東北の海岸に立つふたりの男を見かけたら、それは武重さんと僕……かもしれません。
『去年、南国のお土産に、武重さんが描いてくれたバリ島の海』