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「ゲド戦記」制作日誌
2006年2月 4日
仕事のダシは牛丼にアリ
昨日は、金曜日恒例のラッシュ上映が行われました。
前回のリテイクも含めて、完成映像は51カット。
これで「ゲド戦記」の全体完成映像は230カット(18.6%)となりました。
今日の夕方は、半月ぶりに監督・制作部による炊き出しが行われました。
今回のメニューは、牛丼。
ジブリでは、仕事の基本はイベントの仕切りにある、と言われます。
スタジオの状況を考えながらテーマを設定し、準備から完成、片づけまでの段取りを行い、尚かつ、最終的に参加者全員を喜ばせなければならない。根底に流れるものは、映画作りとまったく同じことだからです。
僕も、今やっている仕事のイロハは、忘年会や、製作委員会の仕切りで覚えました。
今回、「炊き出し番長」に任命されたのは、昨年11月から制作部の一員となった、弱冠19歳の新人・仲澤慎太郎。慎太郎は、高校生時代の3年間、精肉店でアルバイトをしていた事があり、自ら仕入れを買って出たのでした。
『新人・慎太郎。ちなみに弟の名前は、裕次郎と言います』
昨日はひとりで八王子まで車を飛ばし、段ボール二箱分の材料を買い込んできた慎太郎。
材料のセレクトも、ナカナカのもの。実写現場で鍛え上げられた制作部・伊藤君の、日頃の(厳しい)指導が効いたのか、ここ最近の慎太郎の成長には、めざましいものがあります。
ところが敵も然るモノ。
なにしろ、一切の妥協を許さぬコダワリ派のゴロウ監督と、数々の実写邦画大作の現場でたたき上げられてきた、伊藤君が相手なのです。
監督「慎太郎、油が無いぞ! 早く持ってこい!」
伊藤「慎太郎! 仕事はイマジネーションだ。みんなが列に並んだら、どういう順番で配ればいいか想像して段取れ!」
両巨頭の叱咤を浴びながら、黙々と段取りを進める慎太郎。
ちょっとキレ気味でした(笑)
そんな慎太郎が仕切った、今夜の牛丼の宴の結果は……?
『右端にいるのが慎太郎。ちょっと疲れ気味です(笑)』
大盛況でした。
一杯の牛丼の中に、シゴトの全てが含まれている事を知った慎太郎。
きっと「ゲド戦記」の完成までに、更なる成長を遂げることでしょう。
慎太郎、大きくなれよ!
『今日は牛丼だと聞いて、内心食べられてしまうのではないかとビクビクしていたウシ子(♀)』
※この間のイベントの写真は、撮影部の藪田さんが撮ってくれています。