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「ゲド戦記」制作日誌
2005年12月23日
天皇誕生日のジブリ
こんばんは。
今日は休日ですが、監督日誌でお伝えした通り、監督以下、多くの制作スタッフが出社し、机に向かっています。
この間、監督は、後半の追い込みに備える為に、レイアウト作業を続けています。昨晩は、レイアウトの上がりが、一気に43カット! 制作部の机には、レイアウトのコピーで3つの山が出来ました。
監督の大切な仕事は、スタジオ中を歩き回って、各部の作業チェックを行うこと。休日は、対外的な仕事に忙殺される事が無いので、チェックをするには最適な日なのです。
まずは、作画監督の山下さんと、怒濤のように積まれてゆく原画のチェック。1カット1カット、パソコンに取り込まれた原画の芝居を検討してゆきます。今日は、某大物アニメーターの原画に、二人とも驚嘆しながら、大満足でした。
その後、美術監督の武重さんと、背景のチェック。
各背景美術スタッフの上がりに武重さんが直しを入れたものを、机に並べて最終チェックを行います。
監督のチェックは、非常に具体的。
まず全体を見てから、部分に分解して見てゆきます。
全体とは、良いか、悪いか。
その後、細部に目を向けてゆきます。
画面の奥行きや遠近感、光の射し込み方。キャラクターがのった場合の見え方、等々。
映画は、1カット1カットの画面の集まりですから、前のシーンと後ろのシーンとのつながりを、頭の中で想像しながら見てゆかなければなりません。
そしてまた、全体に戻る。
この繰り返しです。
とかく細部に目がいきがちな現代。
これだけ情報が氾濫している時代に、全体を俯瞰して見るのは、なかなか難しいことです。
鈴木プロデューサーと話していると、よく、こう指摘されます。
「細かい事は良いから、大きく言うとどうなの?」
色々情報を集めたのは良いけど、その事について、お前はどう思っているの?
という事ですね。
武重さんからは、背景の上がり21カットと、休日出勤のご褒美の「お寿司」が振る舞われました。
どちらも、ご馳走さまでした!