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「ゲド戦記」制作日誌
2005年12月20日
わたしはナマズになりたい。
こんばんは。
寒いですね~。
日が落ちるのが早いこの季節。スタッフの顔もどこか、憂鬱気味です。
一心不乱に机に向かっていると、あっという間に時が過ぎてしまうため、
「え? さっきお昼を食べたばかりなのにもう日が暮れちゃった」
という事になるのです。
宮崎駿監督の名言に、こんなモノがあります。
「映画を作っている2年間は、映画の長さ(2時間)しかないんだ!」
ちなみに、美術監督の武重さんは、さっきバーで一息つきながら、こうつぶやいておりました。
「あ~あ、寝るのが面倒くさいなぁ」
この境地(?)にまで至れば、あなたも立派な職人です。
さて。
スタジオジブリには、色んな生きものが棲息しています。
旧・制作日誌でも何度か登場している、「猫の恩返し」のムタの作画モデルとなった巨漢の白ネコ・ウシコ。黒と白の二毛猫のシャチ。暖かくなると、3階の屋上庭園では、水瓶の中で、メダカやタニシの姿が見られます。
2階の男子トイレの窓には、たまにヤモリがはりついていて、男性スタッフが用を足しながら、ほのぼのとヤモリのお腹を眺めている風情は、なかなか粋なモノです。
そんなジブリの生きものたちに、新しい仲間が加わりました。
ナマズ君です。
「ハウルの動く城」から、 「ゲド戦記」に入る間、ジブリのスタッフは、来年1月からジブリ美術館で上映される短編作品を制作していました。
その中の1本「水グモもんもん」では、水の中の生きものたちが主人公。作画参考用として飼われ始めたのですが、此奴がなかなかの癒し系。
エサはメダカを一日一匹。
食事の時間以外は、中空を見つめながら、何時間もジーッとしたまま、動きません。
ナマズ君をながめていると、煮えたぎった脳味噌に、小さな句読点が打たれるのです。
そんなナマズ君と一番仲良しなのが、演出助手の清川君。
彼もまた、「ゲド戦記」メインスタッフの癒し系。
過酷な仕事に忙殺されながら、一切表情を変えず、淡々と仕事をこなすその後ろ姿は、女性メインスタッフの絶大なる信頼を勝ち得ています。
ナマズ君と清川君。
この癒し系コンビが、「ゲド戦記」の現場を支えています。
『ナマズ君と語り合う清川君』