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2006年3月 9日
リアルとリアリティ
先週から今週にかけて、監督日誌で、今回「ゲド戦記」が目指しているアニメーションの様式についての記述がありました。
今日は、その事について、少し具体的に書いてみたいと思います。
アニメーターはよく、「リアルとリアリティは違う」という言葉を口にします。
「リアル」と「リアリティ」……どう違うと思いますか?
辞書を紐解くと……
リアル(real)= 「形容詞」 真の, 本物の, 実在(存)する,
リアリティ(reality)= 「名詞」 現実, 実在, 現実性, 本性, 迫真性,
品詞の違いはあれど、両者に意味的な相違はありません。
しかし、ふたつの言葉のニュアンスの違いを汲み取ると、アニメーターが何を言っているのか、解ってきます。
映画を、「リアルだなぁ」という場合と、「リアリティがある」という場合、前者は、細部まで緻密に書き込まれた映像の事を言う場合が多いですが、後者の場合、「実際とは違うけど、本物らしく見える」という意味合いで使うことが多いと思います。
リアリティの意味の中に、「本性」「迫真性」という言葉がありましたが、日本語の場合、こちらの意味合いで使う方が多いのではないでしょうか。
ゴロウ監督が、日誌で書いていたのは、まさにこのこと。
アニメーションとは、一枚一枚の紙に、エンピツで連続した絵を描き、パラパラ漫画のように連続して再生する事によって、動かして見せる表現です。
元々映像が、「動く驚き」から始まった様に、アニメーションもまた、「手で描いた絵が動く驚き」からスタートしました。
ところが、そこにドラマ性が加わり、キャラクターの表情から演技、ひいては内面描写に至るまでを、手描きの絵で表現しようとした結果、最近のアニメーションは、より実写に近い、緻密な