第三日目 1998年6月7日(日)
いよいよ、レコーディング初日。
しかし、ここでちょっとしたアクシデント。指揮者のマリオ・クレメンス(資料:3)さんがワルシャワでの仕事が長引いているため、プラハ到着が夜になるという連絡が入った。
よって、第一セッションは21:00から開始になった。
思わぬスケジュール変更により、急遽ドヴォルザーク・ホールでピアノリハーサルを行った。
15:00ドイツからアシスタントの伊藤さん到着。
19:00マリオ・クレメンスさん到着。
ドヴォルザーク・ホールのエンジニア、ノバチェックさん含め、これで全スタッフが揃った。
久石さんと対面後、レコーディングに関する打ち合わせを綿密にする。
収録曲順も決まり、いよいよ第一セッションスタート。
ステージには、チェコ・フィルのメンバーが続々と入ってきた。
ステージいっぱいにスタンバイするチェコ・フィルの面々。何とこの日は100名を超える編成で早くも圧倒されていた。メンバーとの対面の後、本日収録予定曲である「第六章 レクイエム~呪われた力~」とメインテーマの「第一章 アシタカせっ記」演奏開始。(写真:10)
緊張の中、1曲目が始まった瞬間、今まで体感した事のない音楽の世界へ引き込まれていった。ホールの響き、チェコ・フィルの東欧独特の粘りともいえる重厚な音の演奏など、もう表現出来ない全てのものが重なりあってハーモニーしている。
凄い!凄すぎる!
その時、このアルバムは凄い事になると直感した。
指揮者のマリオさんも事前に渡した譜面をよく理解しており、オリエンタル・ミュージックを楽しんでいるようでレコーディングも快調に進み3時間があっという間に過ぎた。
その後、今日録った2曲を編集して本日は終了。
写真10
(資料:3)
◆マリオ・クレメンス Mario Klemens
1936年東ボヘミアに生まれたチェコの指揮者。
1966年指揮者の登竜門であるブザンソン国際指揮者コンクールに優勝、その名が広く知られるようになった。
チェコのいくつかのオーケストラで活躍の後、1979年から1991年までの12年間、フィルム・シンフォニー・オーケストラの首席指揮者として活躍。
また、チェコのみならず海外の映画音楽も数多く手がけ、現代音楽も得意にしているなど、幅広く活動をしている。
第四日目 1998年6月8日(月)
レコーディング二日目。今日は、第二、第三セッションの予定。
第二セッションは、9:30より「第二章 TA・TA・RI・GAMI」「第五章 シシ神の森」の2曲をレコーディング。(写真:11)
「第二章 TA・TA・RI・GAMI」は、日本から「チャンチキ」と「締め太鼓」をこの曲の為に持参し、パーカッションのメンバーに演奏してもらった。昨日から少しリハーサルもしていたので、日本独特の楽器を楽しみながら上手にこなしていた。
それも、聴き所の一つだと思う。
「第五章 シシ神の森」は、金管・木管の音色がとても印象的でシシ神の怪しさとアレンジの心地良さが感じられて素晴しかった。
第三セッションは、13:30より「第七章 黄泉の世界~生と死のアダージョ~」「第三章 旅立ち~西へ~」の2曲をレコーディング。
「第七章 黄泉の世界~生と死のアダージョ~」は、サウンドトラックでは、曲が短くフルバージョンをと要望が多かった曲である。全体的には、オケの迫力を最も感じられる新曲といっても過言ではない凄い曲。圧巻でした。
「第三章 旅立ち~西へ~」は、とにかく約50名編成で行われたストリングスの音色に尽きる美しい曲。これまた、感激!
夕方、予定曲4曲を録り終えその後、編集もスムーズに行き久石さんもご満悦の様子で本日終了。
写真11
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