制作日誌 1996年3月


96.3.01(金)
 二木真希子さんが今日から原画で参加。早速 CUT730~745、748、754~771 の計35 CUT打合せ。

96.3.02(土)
 二回目のラッシュチェック28カットを行う。リテークがなんと13CUT。最初のうちは仕方がないか。
 森友さん手持ち終了。作打 CUT702~729 を行う。

96.3.04(月)
 宮崎監督が「当分原画チェックはしない。絵コンテに専念だ!」と宣言。
 外注スタジオの仕上げ上がりで、横がけキャリアーでトレスマシンをかけたため、フレーム上部の線が出ていないものが多いので、現在社内で大活躍中の革命的新型横がけキャリアーを外注スタジオに配ることになり、村尾さんに発注。

96.3.05(火)
 特殊美術福留君の作業能率や時間を考えて作業を分散する事になる。タタリ神に関しては谷藤氏の管轄、美術風タッチ等は各美術が担当。またその振り分けは保田さんが行う。
 宮崎監督が、ほとんど出来ていた、新しい部分の絵コンテ約5分(戦闘シーン)を破棄し、描きなおす。

96.3.06(水)
 宮崎監督から、CG部の作業で、一カットが完成する間に何度かそのカットをチェックしたいとの提案があり。片塰さんによれば、カットごとに進行の仕方が違うということなので、それぞれのカットについて個別に進行表を作り、チェックする方法を取ることに。

96.3.07(木)
  動きの先詰め後詰めについて、各列ごとにQAR(クイック・アクション・レコーダー)の前に集まり宮崎監督の講義を聴く。社内に意外と後詰めをしてしまう人が多いが、本来は先詰めが基本である(後詰めはロボットアニメの弊害)。
 第5回「映像の世紀」を観る会が行われる。今回は21日のプロデューサー来社を前に、彼の要望である第10回に放送された民族問題を観る。

96.3.08(金)
 絵コンテ CUT772~793 まで22カット90.5秒上がる。総秒数65分51秒7.92コマ。
 桑名( CUT778、780、781、783、784、786、787、789~791 の10カット)、山森( CUT772~777、779、782、785、788、792、793 の12カット)の打合せ。
 ディダラボッチのテストラッシュが行われる。本番には、前回のラッシュにはなかった身体が青く光るタイプのディダラボッチを使用することに。

96.3.09(土)
 清水氏(680A~701まで22 CUT)、小西氏(608~630 まで30 CUT)打合せ。

96.3.12(火)
 一月くらい前から問題になっているセルの歪みについて、様々に検討した結果、セルを供給している会社の穴あけの刃が曲がっているとの結論に達する。

96.3.13(水)
 セルの穴についてメーカーと相談。穴あけ機の刃の交換を申し入れる
 宮崎監督が、CG部が取り組んでいるタタリ神のカットのうち、まだ上がっていないものを、手描きにすると宣言。またデジタル用に動画を進めていたカットについては、そのままデジタル彩色を行うことにする。

96.3.14(木)
 第6回「映像の世紀」を観る会開催。今回も人数は少なかったが、アニメージュの渡辺編集長他1名が参加。

96.3.18(月)
 朝からメインスタッフルームの席変え。動画チェックの斉藤、中村両名がメインスタッフルームに参加。

96.3.19(火)
 絵コンテ 794~826(33カット)アップ。68分37秒7,92コマ。
 篠原さんの打合せ 794~826まで33カットが行われる。
 デジタルペイントについて保田さんとの話し合いが行われる。「もののけ姫」の間はデジタルペイントの機械をCG部に置き、仕上部石井君に機械の使い方をマスターしてもらう。また、最初の講習には、石井君の他、仕上部井関さん、小野さんも参加する。「もののけ姫」以後はますますデジタル化が進むと思われるので、その時は機械を仕上げに置き、CG部に頼らなくてもやっていけるようにする。等が決定される。

96.3.21(木)
 「映像の世紀」のプロデューサー河本哲也氏を迎えて、番組の制作意図等様々なお話を聞く。出席者多数。

96.3.23(土)
 ポスター第一弾のセル画が完成、背景と合わせながら宮崎監督、保田さん、鈴木プロデューサーらが打合せ。
 雨セルのテストラッシュが上がる。いつもより雨が見えないようだ。撮影の問題なのか、雨セルの問題なのか。もう一度テスト。

96.3.26(火)
 セルの穴について、メーカーと相談。再度機械の部品交換を申し入れる。

96.3.27(水)
 インターネット用男鹿和雄氏インタビュー完成。

96.3.28(木)
 6時過ぎから会議室において、美術監督が5人集まり今後の背景作業の話し合いを行う。まず今のペースで作業を続けてスケジュール内に終わらせるためには、背景の人数を増やすしかないが、今の部屋のスペースでは、2、3人入っただけで一杯になってしまう。田中直哉氏と山本二三氏の手伝いの人もできるかぎり社内で作業をしてもらいたいので、最低二つの机がほしいのとのこと。その解決策として3階の美術から2階に2つ机をもってくるという案が出され、一考することに。

96.3.29(金)
 絵コンテ827~876まで50カットアップ。計73分33秒になる。今回は会話シーンが多いため1カットの平均秒数が5秒の大台にのる。
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