「野中くん発 ジブリだより」 1月号

 皆様、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

 さて、すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、スタジオジブリの新作が昨年末、ついに発表されました。それも2本。高畑勲監督の「かぐや姫の物語」と、宮崎駿監督の「風立ちぬ」です。2013年夏公開予定。

 高畑監督がかぐや姫の映画を作っている、ということは以前から一部で明らかにされていましたが、今回正式に発表されました。誰もが知っている、日本最古の物語といわれるあの『竹取物語』を原作とした長編アニメーション映画。この企画が立てられたのは結構前のことで、少なくとも7~8年前の段階で一度じっくりと検討されています。その後、別の企画に一旦変わったのですが結局また元に戻り、準備作業を経て、2010年に東小金井駅南口徒歩数分の建物内にスタジオを設け本格的に制作を開始しました。スタッフが増えたので、2012年2月、さらに南に行った場所にあるビルを借りて第7スタジオと命名、以来、そこでひたすら「かぐや姫の物語」を作ってきました。

 一方「風立ちぬ」ですが、こちらは『月刊モデルグラフィックス』で2009年に9回に亘って連載された、宮崎監督の同名マンガが原作です。零戦を設計した堀越二郎氏を主人公とした純然たるフィクションですが、タイトルから分かるように、堀辰雄の小説『風立ちぬ』にも敬意を表した内容となっています。宮崎監督は2011年1月に企画書を書き上げそのまま準備作業に入り、「コクリコ坂から」の作業が終わった2011年6月末にスタッフ向けの作品説明会を開いて、作画に入りました。以来、小金井のスタジオでひたすら制作を続けています。

 高畑監督と宮崎監督が同時に作品を作るのは、1988年の「火垂るの墓」と「となりのトトロ」のとき以来。つまり25年ぶりのことです。2本同時進行ですから当然、いろいろ大変なわけですが、今はどのスタッフも一所懸命作業中です(ちなみに「火垂る」「トトロ」は2本立でしたが、今回の劇場は別々です)。

 宣伝ですが、昨年末の発表後、各1点ずつポスターの掲示が始まりました。また、特報も劇場で上映中です。観た方は作品の雰囲気を感じていただけたのではないでしょうか。

 皆様、どうかこの2本を宜しくお願い申し上げます。